目の前に広がる広大な土地。かつては黄金色の稲穂が踊り、野菜が所狭しと実っていたであろうそこに、今は何もない。長い間手入れされることなく放置された農地──耕作放棄地だ。 1961年に608.6万ヘクタールあった日本の農地面積は、2021年には435万ヘクタールにまで減少した(※1)。その要因のひとつには、農業者の高齢化や後継者不足によって農業人口が減ってしまったことがある(※1)。そして、使われなくなった農地の多くが、手つかずの状態となっている。 では、耕作放棄地の何が問題なのか。ひとつには、病害虫や鳥獣被害の発生、土砂やごみの無断投棄、火災発生の原因になる可能性。また、農地の持つ洪水や土砂崩れ防止機能がなくなることによる災害時のリスク上昇なども考えられる。さらに、農地の減少による食料自給率の低下も懸念される(※2)。 「耕作放棄地の話になると、農業に興味がある人を探してきてやってもらおうと