技術の進化は、近い将来すべての人が同じように「見える」「聞こえる」「動ける」世界をつくりだすと言われている。それは希望的であると同時に、ある感覚を鍛えてきた従来の身体が失われることでもある。コントロールするための技術の開発が続くなかで、人間が同質な存在である「ホモ・サピエンス」ではなく、より多様で高次な存在である「メタ・サピエンス」へと進化していくには、どのような視点を持つべきだろうか。 この問いをベースに展開する「メタ・サピエンス」プロジェクト。今回は、一人ひとりの固有の身体のあり方を探ってきた伊藤亜紗をゲストに迎え、武邑光裕と対談を実施。 身体にまつわる数々の著書で「できないことの価値」について触れてきた伊藤は、どのように現況を捉え、未来の人間像を思い描いているのだろうか。リアルとバーチャルが融合するパラダイムシフトを「人間の進化」として捉えて議論する。 ―伊藤さんは新著『体はゆく で