人と人との接触や、移動が制限された非日常ともいえる新しい日常に、不自由さを感じつつも慣れを覚え始めた2021年。そうした渦中にある今、ファッションという日常と密接に関わる現象に焦点を当てる展覧会「ファッション イン ジャパン 1945-2020—流行と社会」が、国立新美術館で開幕した。同展では、戦後である1945年から現在に至るまでの日本ファッション史が、衣服やアイデアを創造するデザイナーと、衣服を身につけ流行を生み出す消費者の双方向から辿られている。国立新美術館主任研究員で同展を担当した本橋弥生は、同展開催の理由を「戦後からわずか25年という短期間で、洋装を自らの文化へと変容させただけではなく、西洋における『ファッション』の価値観を揺さぶるデザイナーを輩出し、東京がファッションキャピタルになるまでを丁寧に見せたかった」と説明する。コロナ禍による延期を経て開催された同展の見所や、キュレーシ