昨今話題に欠かないテーマの本なので、まずは著者2人の紹介から始めよう。グレッグ・ルキアノフはアメリカの教育財団FIREの会長兼CEOで、進歩主義者(リベラル)。ジョナサン・ハイトはニューヨーク大学で社会心理学に精通する教授で、中道派。お互い共和党に票を投じたことはないが、保守派知識人の書物も多く読み学んできた、という。 その2人が問題提起するのは、2013年以降、アメリカの大学内で度々発生する、言論の自由、学問の自由が脅かされる事態についてだ。それも政治権力ではなく学生自身の手によって、である。対立論者の講演に抗議し、激しい妨害活動を行い、キャンセルさせる。大学教員の言葉尻をとらえて糾弾、デモに発展させ、辞職に追い込む。 学生たちはなぜそこまで苛烈な行動に走るのか。彼らの生育環境をベースにその心理メカニズムと事件背景を掘り下げ、追究したのが本書である。特定のイデオロギーを論難する趣旨で書か
「というのも、各々は直接的に他者のうちに自分を知るからであり…しかもそれによって、各々が、他者もまた同じように彼の他者の内に自分を知るのだ」(ヘーゲル『イェーナ体系構想』法政大学出版局) 「臨場性」はなぜ必要か コロナ禍の中で、心から消滅して欲しいと思ったのは「ハンコ」である。 大学が入構自粛になっているのに、ハンコを押すためだけに出勤することの徒労感。そういえばうちの大学では、会議からはほぼ完全に紙資料が駆逐されて、タブレットで会議資料を閲覧することになりはしたけれど、「ワープロで作成しプリントアウトした紙資料に押印したものをスキャンしてPDF化」という純和風デジタイズが横行しており、電子署名などまだまだ imagine the future の彼方——内輪ネタですみません——というありさまだ。というか、そもそも現政権におかれましてはIT担当大臣が日本はんこ議連議長を兼任、という漫画のよ
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