斎藤幸平さん=北原千恵美撮影 斎藤幸平(さいとう・こうへい) 東京大学准教授。1987年東京生まれ。ウェズリアン大学卒業、ベルリン自由大学哲学科修士課程・フンボルト大学哲学科博士課程修了。大阪市立大学准教授を経て現職。著書に『大洪水の前に――マルクスと惑星の物質代謝』(角川ソフィア文庫)、『人新世の「資本論」』(集英社新書)、『ぼくはウーバーで捻挫し、山でシカと闘い、水俣で泣いた』(KADOKAWA)など。 ゼロから資本主義以外のあり方を考えるべき ――ソ連が崩壊して30年以上経ちますが、なぜ今『資本論』なのでしょう? ソ連が崩壊した後、1990年代以降は資本主義のグローバル化が一気に進みました。社会主義は失敗し、資本主義こそが唯一の道だという考えが非常に強くなりました。だけれども、その後、格差は拡大し、地球環境は著しく劣化した。行き過ぎた資本主義の問題は多くの人が感じています。その限りで