テクノロジーの進化により、宇宙空間がかつてないほど身近に感じられるようになった現代。人類が宇宙空間に「滞在」する時代から、さらに長期を見据えた「生活」をする時代へと移行しようとしている。 宇宙での定住が可能性を増すにつれ、問題視されている課題の一つが「重力」だ。無重力や、月や火星などの低重力の環境下において、長期間の生活は筋肉の衰えや骨密度の低下、妊娠・出産や子どもの発育にも悪影響を及ぼす可能性が指摘されている。 月や火星で人類の衣食住を可能にし、社会システムを構築するためには、どのような観点や技術が重要になるのか。京都大学(大学院総合生存学館 SIC 有人宇宙学研究センター)と共創し、人工重力施設「ルナグラス・マーズグラス」を構想する、鹿島建設・大野 琢也氏に話を聞いた。 大野琢也氏。鹿島建設 関西支店 建築設計部 副部長・技術研究所 上席研究員 兼 京都大学大学院総合生存学館ソーシャル