「『見る』の開拓者たち」この連載では、アーティストや研究者、あるいは演出家や落語家といった方まで、あらゆる分野で「見る」を探究している先駆者たちに話を聴き、「見る」ことの本質を紐解いていきます。vol.22の今回は、あらゆるデザインの根幹を担う書体デザインの第一人者であり、これまで筑紫書体シリーズをはじめとする多くの人気書体を世に送り出してきたフォントワークス株式会社 書体デザインディレクター・藤田重信さんにお話を伺いました。 藤田さんが書体の世界に飛び込んだのは10代のころ、当時はまだ手書きで一文字ずつ書体をつくっていた写真植字機時代のことでした。30代で訪れたアナログからデジタルの転換期では、これまでの手法をガラッと変え、誰よりも早くデジタルの書体制作に着手。1998年に日本有数の書体制作会社であるフォントワークスに移籍してからは、活字時代の伝統や日本語本来の美しさをいかしつつも新鮮な