古都・京都は新型コロナウイルス感染拡大前、多くの外国人観光客であふれ「外貨」を稼いだ半面、混雑など「観光公害」に悩まされていた。コロナ感染拡大で祇園などを行き交った訪日客の姿は激減し、19日に都道府県間の移動自粛が解除されても、回復の未来図はまだ描けない。ポストコロナの観光をどう見据えるのか。そのヒントは、京都の花街・祇園に息づく「いちげんさんお断り」の哲学にあった-。(京都新聞社) 【動画】観光の外国人が落書き(京都市東山区) 大通りから一歩入った細い路地。宵闇の中を、つなぎ団子模様のちょうちんがぼんやりと光る。350年の歴史を持つ京都の花街・祇園。大仰な看板や装飾はなく、古くから続くお茶屋や飲食店が静かに軒を連ねる。そんな祇園のお茶屋で、営業自粛を強いられていた4月中旬、新たな試みがあった。 祇園甲部のお茶屋「大ヌイ」の若女将・村上斗紫(とし)さん(34)が親交のある人たちの協力を得て