「地域の文化が残るかどうかはわからない。それは僕らが決めることではないけれど、まず“知る機会”を持ってもらえたら」 そう話すのは、うなぎの寝床 代表取締役の白水高広氏。福岡県八女(やめ)市を拠点に全国の伝統工芸品を扱う同社は、自らを「地域文化商社」と称する。ただ“もの”を販売するのではなく、“地域文化”を流通させているという意味を込めている。 これまで、形あるプロダクトを通して知る機会を広げてきたが、2019年から「体験」の提供にも注力している。「ものの流通だけでは、消費されてしまう」という課題意識からだ。グループ企業のUNAラボラトリーズで、生産地へのツーリズム事業や伝統工芸の体験プログラム、宿泊施設の運営などを始めている。 漆喰の壁の古民家が立ち並ぶ八女に白水氏を訪ね、多角的に事業を展開するうなぎの寝床の考えと、そこから生まれる多層的な顧客体験について聞いた。 地域文化にアクセスできる