東日本大震災の後、各地の温泉地で「異変」が起きている。 急に湯が出なくなったり、温度や色が変わったりし、廃業した温泉旅館もある。一方で、住宅近くで突然、湯がわき出たケースも。地殻変動が原因とみられるが、自噴が止まった温泉への救済措置はなく、支援を求める声も出ている。 新潟県弥彦村にある「観音寺温泉」で老舗旅館「長生(ちょうせい)館」を経営していた中村一彦さん(54)は3月11日の地震直後、源泉の井戸をのぞいて驚いた。湯があるはずの井戸は空っぽ。検査で再び湯が出る可能性は低いと分かり、3月末に廃業した。「お客さんに申し訳なかった」と中村さん。 源泉は、所有者の中村さんを含め5軒の旅館が利用していた。その一つ「上州苑」は旅館裏で昔使っていた湧泉で代用したが、昔より成分が薄まり、温泉法で言う「温泉」には該当せず、「温泉」の看板を下ろして旅館を営む。ただ「柔らかい湯で気持ちいい」と好評だとか。他の