平成も残り半年。この30年間の変遷を振り返る記事をたびたび見かけるようになったが、ファッション市場は平成の時代で何が変わったのか。大きな転換点はどこだったのか。さまざまな見方があるけれど、一つ挙げるとすれば、私は「ユニクロ(UNIQLO)」の登場だと思う。 平成の中盤から後半の20年間、ユニクロは常にキープレーヤーであり続け、ファッション業界の産業構造を塗り替えた。ユニクロと差別化できない企業は、事業縮小や退場を余儀なくされた。百貨店の凋落はユニクロの存在なしに語れない。服のヒエラルキーを崩し、消費者の服に対する価値観まで変えてしまった。 ユニクロの名を知らしめたのは、1998年(平成10年)から始まったフリースブームである。 当時フリースのアウターはアウトドアブランドの専売特許で、1万円以上が相場だった。それを1900円という衝撃的な価格で売り出したのだ。同年11月に出店した原宿店ではバ