“流し”と聞いてピンとくる方はいるだろうか。私には、スーツに身を包んだ演歌歌手然とした男性がギターを抱えて飲み屋街を練り歩く、といったイメージが思い起こされる言葉である。もしかしたら“流し”という言葉自体聞いたことがないという方もいるかもしれない。 “流し”で辞書を引くと、「街頭や酒場などを流して歩く芸およびその芸人」とある。ギターなどの楽器を持って居酒屋さんをめぐり、時にお客さんのリクエストに応じて歌を歌ってチップをもらう行為、という感じだろうか。 さて、その“流し”だが、自分の中ではなんとなく昭和のせいぜい中頃までのもので、今はもうほとんどなくなってしまった文化だと思っていた。しかし、それは間違いだった。この2018年にも“流し”として活動している人がいて、しかもそれが東京・恵比寿の繁華街をはじめとした都内のさまざまなエリアで夜を彩っているというのである。 今回、現役の“流し”として活