ソチ五輪カーリング女子代表のリード苫米地(とまべち)美智子(34)=岩手県二戸市出身=は、ある仲間のことを心に抱き、初の五輪でショットを放っている。同じ頃に競技を始めたが、東日本大震災で行方不明になっている同郷の男性だ。遠征時のカバンには、男性が愛用していた競技用ストップウオッチを忍ばせる。世界の舞台を一緒に回りたいからだ。 男性は会社員舘山勝也さん。2011年3月11日、23歳だった舘山さんは、仕事先だった岩手県沿岸部の大槌町で震災に遭ったとみられる。宿泊していた釜石市のホテルには、ストーンの速度を測るために使うストップウオッチが残されていた。競技を始めた頃から使っていた物だ。 苫米地は19歳だった1999年、二戸市で薬局の事務をしていた時にカーリングに出会い、競技を開始。その後、中学生だった舘山さんと知り合い、練習をともにしてきた。舘山さんは、夫賢司さん(35)のチームメートにもなった