お正月の恒例行事の仕上げは家族三人で箱根で湯治。 露天風呂に浸かりながら、「棚からぼた餅の食べ方」について鳩首協議する。 家族の中で「ぼた餅の食べ方」についてある程度修練を積んでいるのは兄上だけなので、残る二人はそのレシピを拝聴するかたちになる。 一気に食うと腹をこわすし、ちびちび食うとかびが生えるし、自慢げに食うと妬まれるし、こそこそ食うと下品に堕す。 なかなか「ぼた餅道」も奥が深い。 吉田健一や白洲正子が書いているのかも知れないが、寡聞にして「ぼた餅道」奥義書のあることを知らない。 たいへんよい機会であるので、さらに修練を重ねて、いずれ「ぼた餅道精髄」「棚からぼた餅、瓢箪から大吟醸」などというタイトルの本を書いてみたいと思う。 そんな斯道新参未熟の私であるが、あたかもこのぼた餅あることを予見していたかのような予言的な文章を年末に書いていた。 題して「転んでもただでは起きない症候群」。