09年の日本/忍び寄るポピュリズムの危機 今年の国内10大ニュースでトップを占めたのは「政権交代」だった。流行語大賞も「政権交代」で、2009年の最大の出来事と言ってよい。確かに政治における「交代」は民主主義の成熟を示す。 だが、手放しで喜んではいられない。民主主義を劣化させるポピュリズム(大衆迎合主義)が忍び寄っている。大晦日みそかのきょう、09年の日本社会に思いを馳はせたい。 個人主義で家庭が弱体化 今月、驚くべきデータが明らかにされた。厚労省の国立社会保障・人口問題研究所が「日本の世帯数の将来推計」で、10年後の20年に「一人暮らし世帯」の割合が最も多くなり、全体の3分の1以上(34・4%)を占めるというのだ。 05年の推計結果より5年も早まっている。非婚や晩婚化が進み、高齢者世帯は配偶者が亡くなった後、1人で住む傾向が強いからだ。「一人暮らし世帯」が主流を占めるような社会は生き延び