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newsに関するvinylismのブックマーク (110)

  • 企業が貯め込む現金:「死に金」

    (英エコノミスト誌 2012年11月3日号) 企業のバランスシートには危機の前から現金が積み上がっていた。 金融面の景気刺激策は、ある程度の成果しか出せない。トムソン・ロイターによると、米国ではS&P500株価指数を構成する企業の利益と売上高は今年第3四半期に、2009年以来初めて前年比で減少に転じた模様だ。欧州のストックス600指数を構成する企業では、これまでのところ、その約半分で利益が予想を下回っている。 企業が直面する4羽のグレースワン 犯人探しをする企業は、鏡を覗き込んでみた方がいいかもしれない。企業は、英国の大手広告マーケティング会社WPPのマーティン・ソレル氏が4羽の「グレースワン」(ブラックスワン*1と違ってグレースワンのことは誰でも知っている)と呼ぶものに直面し、技術コンサルティングサービスから半導体機器に至るまで、あらゆるものの予算を削減している。 企業の自信をなくさせて

  • 日本とIMF:お粗末な主催国

    (英エコノミスト誌 2012年10月6日号) 日はやってはならない経済外交について教訓を与えてくれている。 日の野田佳彦首相はいまだに、「Turning Japanese(日化する)」と題した昨年の誌(英エコノミスト)のカバーストーリーに苛立っている。欧米諸国が日流のリーダーシップ欠如に苦しんでいると論じた記事である。 野田氏は物議を醸す消費税増税法案を押し通すことで、そのイメージを覆そうとした。しかし野田氏は10月1日、つまらない政治的なご都合主義がいまだに大抵のことより優先されるという教訓を与えてくれた。 首相は国際通貨基金(IMF)と世界銀行の年次総会を主催する1週間前に財務相を交代させ、閣僚経験もなければ財政の経験もない、元労組代表で国会対策委員長を務める城島光力氏(65歳)を新大臣に据えたのだ。城島氏はこの1年余りで3人目の財務相だ。 アナリストらの見るところ、城島氏の

  • 東電解体は慈悲深い安楽死だ

    大株主が会社を「水に落ちた犬のように」情け容赦なく打つべきだと言う時、その会社は明らかにイメージの問題を抱えている。だが、これが東京電力に降りかかった悲しい運命だ。 東電はかつて誇り高き公益事業会社だったが、今では津波で損壊した福島第一原子力発電所を運転する事業者として国際的に悪名高い会社になっている。 再生可能エネルギーの促進を目的とした先月のセミナーで、東京都――東電が6月に国有化されるまで筆頭株主だった――の猪瀬直樹副知事は電力会社の地域独占を打破すべきだと強く主張した。 「水に落ちた犬を打て」 「猛獣には、水に落ちた瞬間にしか勝てない」。猪瀬氏はこう言い切った。「今勝負ができなければ、永遠に何も変わらない」 このような言葉遣いは、不当に厳しいように思えるかもしれない。何しろ1000年に1度の大地震と津波が東北沿岸部を襲うまで、東電は尊敬される企業だった。 福島第一原発の津波防御対策

  • 燃え広がった反日デモと「愛国」の正体

    (編集部注:稿はNewsweek日版10月3日号「反日の行方」特集に掲載されました) 9月18日、81年前の柳条湖事件の記念日に「予告どおり」、中国の100都市で尖閣諸島(中国名・釣魚島)の「国有化」に抗議する反日デモが起きた。だが、これほどの広範囲にもかかわらず、参加者は合計でも数万人レベル。7月1日に人口わずか700万人余りの香港で起こった政府への抗議デモに40万人が集まったことに比べたら、13億人の中国からすれば大きなものでない。 ただ香港のデモは平和的だったが、数万人の中国人は激しい破壊をもたらした。各地で「日」に関わるすべてをあぶり出し、破壊し、略奪し、たたきつぶす......。事態を見守っていた人々の口からは「狂気の沙汰だ」「文革そっくりだ」という声が漏れた。 昨年初めに中東から飛び火しかけたジャスミン集会騒ぎでは、ネットで集会の噂を転送しただけのネットユーザーが多く拘束

  • 尖閣を巡るPR合戦をどう戦えば良いのか?

    それにしても、先週末にニューヨーク・タイムズに掲載された尖閣諸島領有権に関わる中国側の広告はインパクトがありました。この新聞はカネさえ払えば、テロリストに近い筋の主張から何から何でも掲載するのですが、それにしても2面見開きで買い付けるというのは異例です。そこに巨大な魚釣島のカラー写真が掲載されているのですから、ビジュアル的にも大変に目立つ広告でした。 問題は、この広告が相当な「効果」があったようだという点です。例えば、アメリカの公立高校に通っている日人の生徒によれば、普段は親日的なアメリカ人の生徒(複数)から「あの広告の主張は当なのか? 尖閣は日のものと思っていたが、中国の主張にも一理あるようだ」と言われたそうです。 とにかく、PRに力を入れて、最後には米国世論を中国の味方とまでは行かなくても、日の味方はさせないようにという、かなり強固な意図を感じます。そして、今回のものはある程度

  • 日本の政治:安倍氏の総裁就任が意味するもの

    (英エコノミスト誌 2012年9月29日号) 自民党は新総裁に安倍晋三氏を選び、日とその近隣諸国に衝撃を与えた。 日国民はまたしても、政治は自分たちにきつい冗談を投げかけることしかできないのかと、首をかしげているに違いない。 野党・自民党は9月26日、国家主義者でかつて首相を務めた安倍晋三氏(58歳)を、次の総選挙に向けて党を率いる総裁に選んだ。安倍氏は2007年に、政治の失敗とストレスによる腸疾患を理由に、わずか1年で首相を辞任したにもかかわらず、だ。 安倍氏が選ばれたことは、自民党が数カ月以内に政権を奪取する見込みが十分あると思っていた一般党員にとっては、とりわけ衝撃的な出来事だった。 一般党員の間で一番人気だった石破茂氏は1回目の投票では最多の票を獲得したが、過半数には達しなかった。 2回目の決選投票は自民党所属の国会議員のみが投票権を持つが、議員たちは一般党員の意向を無視した。

  • アジアは本当に「これ」で戦争を始めるのか? 尖閣諸島を巡る日中緊迫がエスカレートしたら・・・

    (英エコノミスト誌 2012年9月22日号) 島々を巡る争いは、アジアの平和と繁栄に対する深刻な脅威だ。 アジアの国々は、文字どおり一粒の砂に世界を見ているわけではないが、沖に散らばる小さな岩礁や砂州に自国の国益に対する深刻な脅威を見いだしている。 今夏には、中国、日韓国、ベトナム、台湾、フィリピンが絡む海洋紛争が立て続けに起きた。 9月中旬には、日では尖閣諸島、中国では釣魚島と呼ばれる無人島群を巡る諍いから、中国全土の都市で反日暴動が拡大した。トヨタ自動車とホンダは中国の工場の操業を停止した。 両国で加熱する舌戦の中で、ある中国紙は、無意味な外交を省略し、ただちにメイン料理に進んで日に原子爆弾を供するべきだという、なんとも有益な提言をした。 ありがたいことに、これはグロテスクな誇張表現だ。中国政府は遅ればせながら、平和維持の経済的な利点を認識し、争いを鎮静化しようとしている。それ

  • 日本の政治:動き出す橋下新党

    (英エコノミスト誌 2012年9月15日号) 主要政党は注意してかかった方がいい。 橋下徹氏以外の誰もが驚いたことに、大阪の大規模産業地帯を中心に起きていた地方の政治的反乱が今や日全国に火をつけた。9月12日、43歳の意欲的な大阪市長の橋下氏は、国政政党を正式に結成した。 党名の「日維新の会」は、既存の政治秩序を一網打尽にするという橋下氏の約束を映し出している。遠からず総選挙が実施される。世論調査では、橋下氏率いる反乱は、与党よりも多くの支持を得ている。 求む、フレッシュな後継者 見るに耐えない政治の舞台に橋下氏が登場したことは歓迎できる。日の既存政党は指導力を発揮できない。与党・民主党は、内輪揉めと離党で頭がいっぱいになっている。 2009年に民主党の手で政権の座を追われた保守系の自民党は、どっちつかずで斜に構えている。自民党は参議院を事実上支配し、参院から露骨な議事妨害を展開して

  • 中国の「反日暴動」がアメリカでほとんど報道されない理由とは?

    先週末から今週はじめにかけて、中国の各地では反日を表面的なスローガンにした一種の「反秩序暴動」がエスカレートしているわけですが、アメリカではこのニュース、驚くほど小さな扱いとなっています。例えば、暴動が格化した直後の16日の日曜日には、ニューヨークタイムス、CNNといったメディアでの扱いはほとんど「ゼロ」でした。 週明けの月曜になって、少し報道が出始めていますが、例えば中国にあるパナソニックの工場が操業停止しているなどといった「経済記事」的な扱いが主で、それに「在北京日大使館」に卵が投げつけられたなどの報道が加わっているだけです。実際に起きている、大規模な破壊行動については、一切伝えられていないと言ってもいいと思います。 私は各メディアの内情を知る立場にはないので、あくまで憶測に過ぎませんが、そこにはある種の「配慮」が感じられます。では、仮に「中国への配慮」があるとして、そこにはどんな

  • 「原発ゼロ」で対応迫られる日本の原発メーカー

    (2012年9月17日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 日が2030年代までに原子力発電から段階的に手を引くと決めたことで、国内の大手ハイテク企業の一部が厄介な問題に直面している。自国の政府が事実上禁止した製品をどうやって売っていくのか、という問題だ。 東芝、日立製作所、三菱重工業の3社は世界有数の原子力発電プラントメーカーだ。3社は昨年3月に福島第一原子力発電所で事故が発生した後、原子力エネルギー事業の強気な成長見通しをそろって下方修正している。 さらなる下方修正を強いられる恐れ とはいえ、その内容は今でも野心的だ。今年6月に発表された計画でも、遅くとも2010年代末までにこの分野の売上高を倍増させると謳っている。専門家は、今回の日の政策転換でさらに下方修正を強いられる恐れがあると見ている。 「これらの企業は既に外国で非常に活発に動いている。フクシマ以降は特にそうだ。ただ、もし日

  • 尖閣騒ぎを大きくした真犯人は誰だ?

    今週のコラムニスト:李小牧 〔9月12日号掲載〕 路上だけでなく、大通りに面したあらゆるビルから人々が熱狂的な声援を上げる──。思わず、文化大革命を発動した毛沢東が天安門広場に100万人の紅衛兵を集め、接見したときの様子を思い出した。ただ、私が今回目にしたのは文革のような政治運動ではない。ロンドン・オリンピックから帰国した日人選手たちの銀座パレードだ。 銀座の沿道に集まったのは50万人。熱狂的という点で2つの「集会」は似ているが、中国人が声援を送ったのは、後に国中を大混乱に陥れた指導者。一方、日のパレードの主役は平和の祭典でメダルを獲得したヒーローやヒロインたちだ。もちろん時代も国の事情も違う。だから、これで平和的な日が優れていて、政治運動に狂った中国が劣っているなどと言うことはできない......はずだった。 そんな折、先日の尖閣諸島への香港活動家の上陸騒ぎをきっかけに、中国全土の

  • アラブ騒乱の元凶となった「ビデオ映像」の謎

    イスラム教の創始者にして、最高の預言者であるマホメット(ムハンマド)を侮辱した「ビデオ」が「アメリカで制作された」という理由で、まずリビアで反米の騒乱が起こり、エジプトとイエメンに、更にはイスラム圏を中心に9カ国に飛び火しているようです。リビアでは、武装勢力によるロケット弾攻撃により駐リビアの米国大使が暗殺されるなど、暴力がエスカレートしています。 しかし、この事件、何とも不可解です。問題のビデオの内容から、発生した暴力事件に至るまで全てが謎と言っても良いでしょう。 まず誰が制作したかという問題です。当初の報道によれば、ユダヤ系の人物がカギを握っているというのですが分かりません。何故かというと、アメリカのユダヤ系、特にハリウッドの映画産業に関わっているユダヤ系というのは穏健リベラルがほとんどです。政治的には民主党であり、オバマの「アラブの春支持方針」にも反対していません。ですから、イスラム

  • 「親日」か「反日」かでは語れない領土問題

    香港人活動家の尖閣上陸で始まり、19日の日曜日には中国各地での反日デモにまで発展した騒ぎに、「これからどうなるのだろう」と感じている日人は少なくない。わたし個人は逆に中国人の方が泰然としているという気がしている。というのも中国人はある意味、単純明確に「領土問題」としてこの事件をとらえているのに対して、逆に日側には見えていない点があまりにも多く、その状態で解読しようとすればするほどわからなくなり不安に結びつく、つまり「知らないこと」が猜疑を生んで怖れや戸惑いに結びついているように見える。 今回まず明らかになった「不明点」は、日社会には尖閣(中国では「釣魚島」、台湾や香港では「釣魚台」と呼ぶ。稿では中国側視点を紹介する場合は「釣魚島」で統一する)を巡る領土紛争についての認識に大きな誤解があることだ。 活動家の上陸が伝えられた瞬間から、ツイッターなどでは「反日」という言葉が飛び交い出した

  • 日本の震災と人口動態:世代間闘争

    (英エコノミスト誌 2012年8月4日号) 津波で被災した地域社会の復興に対する考え方は、若者と高齢者で異なっている。 日に住む多くの人は最近、日人女性が1985年以来初めて、世界最長寿の座を失ったというニュースを聞いて愕然とした。日の女性の2011年の平均寿命は85.9歳に下がり、香港の女性よりほぼ丸1年短かくなった。 平均寿命低下を招いた主な原因が、2011年3月の東北地方の地震と津波の死亡者だったというニュースに、人々は一段とうなだれた。これは、世界でも高齢化が進む一角で、大災害が偏って高齢者を襲ったことを思い出させる話だった。1万8800人近い死者・行方不明者のうち、56%が65歳以上だった。 高齢化は復興のプロセスにも影を落としている。沿岸部の町では、自治体の職員らが、復興に向けた取り組みを妨げる「ジェネレーションギャップ」に直面したことがあると話している。 日が直面する

  • 原発について考えるにあたって - Chikirinの日記

    原子力発電については、福島の事故以来、推進派、反対派入り乱れて、様々な議論が起こっていますが、ちきりんとしては、賛成・反対の前に、いろいろ知りたいこと、検討して欲しいことも多いので、それらについてまとめておきます。 1.個別の原発のリスク洗い出しと対策検討 いったん原子力発電所に問題が起こると、広範囲に影響が及ぶことを福島の事故は教えてくれました。そしてそれらの問題の大きさと種類は、個別の原発立地によって大きく異なります。 今、存在している原発を(稼働するしないに関わらず)そのままの立地に残すのか、廃炉にして放射性物質自体を移動させてしまう(その地に置かないようにする)のか、ということを決めるには、「万が一の時、何が起こりえるのか?」について理解しておく必要があります。 原発のリスクというと、その原発ができてからの年数(老朽化度合い)や、地震の発生確率(活断層の存在云々)ばかりが取りざたさ

    原発について考えるにあたって - Chikirinの日記
  • 日本の政治:右傾化する主要政党

    (英エコノミスト誌 2012年7月28日号) 日では珍しい好戦性が政治の主流に忍び込んでいる。 このところ、野田佳彦首相が執務する官邸前でほぼ毎週金曜に行われる反原発デモに大きな注目が集まっている。1960~70年代の左翼運動を思い起こす向きもあるが、今回のデモ参加者は過激派の学生ではなく、祖父母の世代やベビーカーを押す母親たちが大半を占めている。 デモほど目立たないのは、日政治の主流派における急激な右傾化の動きだ。 半世紀にわたって保守支配が続いた後、政権の座を追われた3年前には考えられなかったことだが、自民党は今、まもなく与党に返り咲くとの自信を深めている。自民党は今後数カ月内に野田首相を解散・総選挙に追い込めると考えており、選挙が実施されれば、野田首相が率いる民主党は敗北する可能性がある。 世論調査では自民党の支持率は民主党をわずかに上回っているだけだが、自民党としては、ほとん

  • 日本の反原発運動:高まる熱気

    (英エコノミスト誌 2012年7月21日号) 原子炉2基の再稼働は遅まきながら日人の導火線に火をつけた。 通常、民衆の力という言葉から東京を連想することはない。従順で特徴のないサラリーマンに代表される非常に整然とした街、東京が、激しい抗議活動の舞台となることは滅多にない。 多くの市民が何かに対し怒りの感情を露わにしたのは、ベトナム戦争の時代が最後だった。 ところが7月16日、何万人もの人が30度の暑さをものともせず、東京都心の公園で開かれた「さようなら原発」集会に参加した。 主催者は参加者が17万人だったと発表した。警察発表は7万5000人だ。どちらの数字であっても、昨年3月の地震、津波、原発事故以降実施されたデモの参加者としては最も多く、恐らく州ではこの数十年間で最大規模の抗議集会だった。 警察発表でも数十年ぶりの大規模デモ 突如として、筋金入りのリベラル派が抱く衰えゆく大義のように

  • 野田内閣「国家戦略室」の「40歳定年制」は議論の材料になるのか?

    国家戦略室という役所に置かれた諮問委員会である「フロンティア分科会」が「報告書(案)」というのを発表しています。その内容に関しては既に公開されていますので、ご覧頂いて議論を進めてゆくのが良いと思いますが、一言申し上げておけば100点満点で10点程度の内容だと私は思います。 まず、やたらに悲愴(パセティック)な言葉を使って「最悪のシナリオ」を描いている点が気になります。委員には、キチンとした見識を持った方も入っているのですが、「官僚の作文」というのが悲観的な方向に振れると「こうなる」ということなのでしょうか。例えば、 「現在の延長線上にある2050年の日の姿は、経済が停滞し、貧困と格差が広がり、国民がアイデンティティを喪失し、中核的国益の維持も危うい「坂を転げ落ちる日」である。」 といった調子なのですが、とにかく、「何が問題なのか」という危機の分析がないままに「日オワタ」的なネガティブ

  • 小沢一郎:闇将軍の落日

    (英エコノミスト誌 2012年6月30日号) この25年間で最も大きな影響力を振るった政治家の力が衰えてきている。 6月26日、大幅な増税法案に対する与党内の造反を率いて失敗した後、小沢一郎氏は拳を突き上げ、力強く「よし!」と言ったように見えた。 何度となく逆境から個人的な勝利をつかみ取ってきた政治家にしては、不思議なくらい勝ち誇ったそぶりだった。冷戦以降、政界で振るってきた無類の影響力が尽きかけてきた男のハッタリだと見る向きもある。 消費税率の倍増に向けた野田佳彦首相の超党派の取り組みに対し、小沢一郎氏は与党・民主党内から57人の反対票を取り付けた。それでも法案を頓挫させるには至らず、増税法案は賛成363票、反対96票で可決した。しかし、この結果は野田氏が恐れていた以上に悪かった。 野田氏は小沢系の造反組を処罰するよう迫られているが、その前に造反組が離党し、民主党が衆議院での過半数の議席

  • 日本の財政問題:いよいよ消費税増税へ

    (英エコノミスト誌 2012年6月23日号) 日の財政タカ派は15年越しの念願をかなえようとしているようだ。 「消費税増税が可決される見込みは限りなくゼロに近い」。2011年12月、米国のある(いつもは洞察力がある)エコノミストはこう書いた。 その根拠は、過去15年間にわたって日政治の大原則であり続けてきた事実にある。すなわち、日で最も異論の多い税金を引き上げるというリスクを冒すほど勇敢な政治家も無鉄砲な政治家もほとんどいないということだ。 ところが意外なことに、野田佳彦首相率いる民主党は6月15日、党内対立があるにもかかわらず、現在5%の消費税を2014年4月に8%、2015年10月に10%まで引き上げることで主要野党と合意した。これで胸をなで下ろした者もいれば、悔しい思いをした者もいるだろう。 合意には1つだけ条件が付けられている。増税は経済がそれに耐えられる状態にある場合にの