82歳となった天皇陛下の「老熟力」 きめ細かな活動から、些事にこだわらぬおおらかさへの微妙な変化 岩井克己 ジャーナリスト 天皇陛下は23日、82歳の誕生日を迎える。 皇后さまとともに80歳を超えてなお、ひたむきに公務に向き合う日々が続くが、この数年の微妙な変化も見過ごせない。平成のスタートから継続して取材してきた筆者の目からは、活動のきめ細かさが特徴だった両陛下の姿勢に微妙な変化が生まれているように見えるのだ。 これからは些事にこだわらず、積極的に若い世代に信頼し託していこうという気配が見える一方、しかし本当に切実な基軸的な務めには引き続きひたむきに自ら向き合い続けることで、後継世代にも背中を見て、確実に引き継いでもらいたいという覚悟がますます強まっているように感じるのである。 戦後七十年の節目の2015年、「慰霊の旅」で10年前のサイパンに続いて再び国境を越えてパラオ・ペリリュー訪問を