今夏の東京オリンピック・パラリンピックの開催に批判的な声が高まっている。新型コロナウイルスの感染は世界各地で広がっており、収束の見通しは立たない。商業化の一途をたどるメガイベントは祝祭の場となるのだろうか。スポーツ経済学が専門で、1992年バルセロナ五輪陸上短距離代表の杉本龍勇・法政大教授(50)は「このまま開催すれば、五輪の価値を下げることになる」と警鐘を鳴らす。【聞き手・田原和宏】 国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は「五輪は人類にとってトンネルの先の光となる」と語るが、欧州などではロックダウン(都市封鎖)を繰り返す国もある。発展途上国となれば、さらに厳しい状況にある。 IOCが巨額のテレビ放映権料を目当てに開催に固執しているように映る。政府の「コロナに打ち勝った証し」という表現も、普通の人々の生活と懸け離れている。新型コロナに感染して苦しんでいる人、経済的に困窮し