安倍晋三前政権の路線を踏襲した菅義偉政権が退陣する。両政権下の約9年間、官邸主導の政治が強化されたことにより、日本の統治機構や政策決定プロセスは大きく変貌した。両政権が日本に残したものとは――。元経済産業省官僚で「官邸の暴走」などの著書で知られる評論家、古賀茂明さんに聞いた。【聞き手・三上剛輝/経済部】 受け継がれた四つの「負の遺産」 ――「安倍・菅時代」をどう総括しますか。 ◆一言で言うと、民主主義を危機に陥れました。負のレガシー(政治的遺産)をたくさん残し、プラスのものはほとんどない。その結果、国民の政治に対する信頼が大きく失われました。また、「分断」という表現がよく使われますが、格差が広がるなど、社会全体への信頼も損なわれました。 ――「負のレガシー」とは具体的に何でしょうか。 ◆主に…