三大テノールのはじまり 1990年、FIFAワールドカップの歓喜とともにプッチーニの「誰も寝てはならぬ」は世界中の人々の耳に届くことになった。ルチアーノ・パヴァロッティ、プラシド・ドミンゴ、ホセ・カレーラス、3人のテノール歌手が集い、世界54か国で8億人が視聴した“三大テノール”のコンサートがズービン・メータの指揮のもと初めて開催されてから30年。コンサート映像として公開された『三大テノール 世紀の競演』(10)、『三大テノール 夢のコンサート』(16)とは違い、カラカラ浴場、ドジャー・スタジアムでのコンサートのこれまで未公開であったバックステージ映像と3人の17年間の活動の軌跡をドミンゴ、カレーラス、メータを含む多くの関係者の証言によって紡ぐドキュメンタリー映画が誕生した。同じ時代にオペラ界で活躍し、ライバル同士として知られていた3人が、何をきっかけに同じ舞台で競演を果たし、どのように成