2013年4月に87年の生涯を閉じた、マーガレット・サッチャー。その際立ったリーダーシップと強硬な政治手腕は、功績と犠牲、称賛と批判の両方を生んだ。「度を超えた強みの発揮は、マイナスとなる」と唱える筆者らが、サッチャーの資質を改めて検証する。 私たちはマーガレット・サッチャーの名を、優れた指導者として、および極端な政治家として記憶にとどめるだろう。実際のところ、この2つの側面はほぼ表裏一体なのだ。サッチャーのリーダーシップの真髄は、揺るぎない信念と粘り強さにあったが、これは保守というよりも革命派の資質に近い。保守党党首として現状を打破しようとし、反対されようともみずからのアジェンダにこだわり続けた。サッチャーをウィンストン・チャーチル以来の最も影響力のあるイギリス政治家にしたのは、まさにこういった資質である。 しかし、大企業のCEOを含む経営幹部にコンサルティングを行ってきた我々が長年の経