前回は,大日本印刷に個人情報取扱業務を委託していたジャックスを題材に,顧客情報管理と投資家向け情報開示の関係について取り上げた。この延長線に浮かび上がってくるのが,株主/投資家保護のために“財務報告に係る内部統制と情報開示”を定めた金融商品取引法(日本版SOX法)の存在である。今回は,東京電力を題材に,情報管理の方向性について考えてみたい。 個人情報保護から業務情報一般へと広がったリスク管理対象 第82回で触れたように,2007年3月7日,東京電力は顧客約47万人分の個人情報を含むマイクロフィルムを紛失したことを発表した(「お客さま情報が記載されたマイクロフィルムの紛失について」参照)。さらに遡(さかのぼ)ると,2006年9月8日には約340件の社内外関係者の個人情報を含む業務資料が,ファイル交換ソフト「Share」を介して流出したことを発表している(「当社社員の個人所有パソコンからの配電