「今日ツタヤ行ったらさ、ハイスタの新譜が売ってたんだよ!!」 席に着くと、友人である草谷くんは鼻息荒く話し始めた。そのCDの梱包を開けるとその鼻息は一層荒くなった。 「打ち合わせの前に悪いけど、ちょっともう今聴いていい!?」 僕が返事をする前にCDは彼のラップトップにズブズブと飲み込まれていた。 「うわあ!ハイスタだ!本当にハイスタだ!」 草谷くんは僕の一つ上、26才でゴリゴリのハードコア畑育ち。身長は180cmを越え、不精髭を生やし癖毛を頭頂部で束ねたかなりの強面だ。そんな彼が、ハイスタンダードの再始動に子供のように喜び飛び上がっていた。訊くに、思い出も思い入れもあるらしい。バンドの動向一つに心から一喜一憂する彼は本当に音楽が好きなんだろう。きっと彼だけでなく、日本中のファンたちが年齢も時間も超えてみんなで大騒ぎしているんだろう。その有様が心底素敵なことだと僕は思った。 が、それと同時に