国会の議論も閣議決定もしないまま個人的に集めた「諮問機関」なるものの報告を受けて、憲法の解釈とこの国のあり方の根本を一方的に変更しようとしている。
現在の日本社会において総合的な秘密保護法制は要らないし、むしろ作るべきではない。これが、日本ペンクラブの結論である。私たちはすでに、2011年11月30日付声明「秘密保全に関する法制の整備についての意見」において、この立場を明確に表明してきた。 今般、政府によって「特定秘密の保護に関する法律案」が公表され、ごく短期間のパブリックコメント期間を経て、この秋の臨時国会に提出されようとしている。この法律案は、2年前に「秘密保全法案」として提出されようとしたものと内容的にほぼ同一であり、日本ペンクラブはこの法律案に対し、従前からの反対の立場を維持する。 以下は、その理由であって、同時に今回のパブリックコメントで提示された法制度への意見である。 1.「特定秘密」に指定できる情報の範囲が過度に広範である 法律案は、(1)防衛、(2)外交、(3)外国の利益を図る目的の安全脅威活動の防止、(4)
社団法人日本ペンクラブ(会長浅田次郎)は、Google社(以下グーグル)から提案があった図書館プロジェクト(グーグルブック検索サービス)に関わる事項について、話し合いを開始することにつき、10月15日受け入れることを決定した。 話し合いにあたっては、グーグルが今後、日本国内において出版関連活動を行なうにあたって、出版の多様性確保や日本の出版文化・慣行の尊重を含めた言論・表現の自由についての基本姿勢、過去及び将来にわたってグーグルが所有あるいは所有する可能性がある書籍のスキャニングデータの扱いなどについて、双方の基本的立場を尊重しつつ、実効的な前進が見られるよう交渉に応じる用意がある。 <これまでの経緯> 日本ペンクラブは米国での同サービスに対し、米国関係者者が提訴した「グーグルブック検索訴訟」の和解案について、米国における日本の著作物の権利保護、日本国内の出版商慣行の無視、情報流通独占など
東京都は12月の定例都議会に青少年健全育成条例の修正改定案を再提出するという。これは漫画やアニメなどの表現、インターネットや携帯電話などの電子的ツールの法的規制を通じて、青少年の育成環境から有害とされる性情報を排除しようというものだが、用語の変更等による部分的な修正は見られるものの、あいかわらず根本において、公権力が人間の内面や言論・表現の自由の領域に関与・介入することに対する謙抑的な配慮が感じられない。 表現やコミュニケーションという民主主義社会の根本にかかわる配慮や規制は、自主的・自立的に行われるべきであり、そこにおける主体的な工夫や試行錯誤が大人社会を成熟させるだけでなく、青少年が多様な価値観のもとで生きていく知恵と力を身につけるために不可欠な経験となることは、古今東西の文学が描いてきた常識である。 これまでの、また今回の改定案も、公権力がある表現を「有害」かどうかを判断すること
言論表現の自由にとって残念な事態がじわじわと広がっている。アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞した映画「ザ・コーヴ」の、上映自粛の動きである。完成当初からその内容には賛否両論があった。その後、配給会社は国内上映に向け指摘されてきた法的な問題について解決すべき努力をした上で、全国での上映予定を発表していた。 にもかかわらず、一部の団体の抗議を受けて、幾つかの映画館はすでに上映中止を決定し、私たちが作品を実際に見、考えるきっかけは奪われてしまっている。さらに本来表現の自由を重んじるべき大学までもが上映会を中止する事態に至っている。 私たち日本ペンクラブはちょうど二年前、同様の抗議行動によって映画の上映や講演会が開けない事態を憂慮し、声明を発表するとともに映画の上映会を実施した。 いま改めて言う。自分の考えと異なる意見にも耳を傾け、その発言機会を保障しよう。そして、そうした場
第1部 開会挨拶 鈴木多加史氏(学校法人追手門学院長・追手門学院大学長) 講演 吉岡忍氏(作家、日本ペンクラブ常務理事) 「文学にとって図書館とはなにか」 講演 中井万知子氏(国立国会図書館 関西館長) 「国立国会図書館の資料デジタル化はなにを変えるか―図書館・文学・書物」 第2部パネルディスカッション 「デジタル環境下における文学と図書館」 パネリスト:吉岡忍氏、中井万知子氏、 篠原健氏(追手門学院大学・経営学研究科長、総合情報教育センター長)、中西秀彦氏(中西印刷株式会社専務取締役、日本ペンクラブ言論表現委員、大谷大学 非常勤講師) 司会:湯浅俊彦(夙川学院短期大学准教授、日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長) 閉会挨拶 山田健太氏(日本ペ ンクラブ言論表現委員会委員長) 2010年1月24日(日)、午後2時~5時、追手門学院大阪城スクエアにおいて開催されたセミ
「グーグル・ブック検索訴訟 新和解案をめぐって」 〜何が変わったのか、今後の動向〜 11月13日(金) 午後7時〜午後8時45分(開場:午後6時30分) 東京電機大学(神田キャンパス) 7号館 丹羽ホール 〒101- 8457 101-8457 東京都千代田区神田錦町2-2 http://atom.dendai.ac.jp:80/info/access/kanda_map.html 交 通:JR 御茶ノ水駅・神田各駅より徒歩10分 地下鉄 新御茶ノ水駅・小川駅・淡路町各駅より徒歩3〜5分 参加費:会員(ペン・出版学会)/学生 無料 非会員/その他 500円 *事前申込みは不要です。 【開催主旨】 米国でのグーグル・ブック検索訴訟の和解案に対しては、日本ペン クラブ有志による異議申し立てをはじめ多数の異議申し立てが米国 連邦地裁に寄せられ、さらに10月末には国際ペン・リンツ
社団法人日本ペンクラブ(会長阿刀田高)は、本年9月5日に期限を迎えるグーグルブック検索訴訟の和解案に対する異議申し立てを米国ニューヨーク連邦地裁に行うことを決定しました。 本異議申し立ては日本ペンクラブではなく、日本ペンクラブ理事ならびに言論表現委員会有志によって行われますが、異議申し立てを日本ペンクラブの方針として支持するものです。 日本ペンクラブは2009年4月24日に声明を発表し、グーグルブック検索訴訟の和解案について、様々な問題点があり許容できない旨表明しました。 2009年5月27日、来日した米作家協会・米出版社協会との情報交換会に出席、6月30日ならびに7月27日に日本出版学会と合同で公開シンポジウムを開催し、様々な形でグーグルブック検索訴訟の和解案について更なる検討を行いました。 しかしながら、現状ではグーグルブック検索訴訟の和解案そのものには以下の点で大きな問題がある
シンポジウム「グーグルブック検索和解協定を検証する」 ~出版流通・表現の自由・国際比較の観点から~ 2009年6月30日(火) 午後6時~午後8時半 東京電機大学(神田キャンパス) 7号館 丹羽ホール 【パネリスト】 三浦 正広(国士舘大学) 「日米における著作権法の違い・フェアユースについて」 原 若葉(弁護士) 「集団訴訟・ベルヌ条約について」 植村 八潮(東京電機大学出版局 日本出版学会副会長) 「日米における出版流通や出版契約慣行の違いについて」 山田 健太(専修大学 日本ペンクラブ言論表現委員会委員長)=司会 「グーグル協定概要・表現の自由の立場からの問題提起」 6月30日に日本ペンクラブと日本出版学会が合同でシンポジウムを開いた。タイトルは、「グーグルブック検索和解協定を検証する〜出版流通.表現の自由・国際比較の観点から〜」。アメリカで去年の10月にまとまっ
日本ペンクラブは表現者の団体として、グーグル・ブック検索訴訟(書籍のスキャニングとネット公開に関する米国内の対グーグル訴訟)の和解案について、評価作業を継続中であるが、現時点において以下の三つの観点から見解を明らかにし、デジタル時代の著作権処理のあり方について警告する。 第一は、著作権上の問題である。グーグルの書籍デジタル化に関する一連の行為は、日本の著作権上明白な複製権違反であるにもかかわらず、それを容認する形になる。また、米国内ルールである「フェアユース(公正利用)」条項を「世界基準」として事実上容認することになる点で、大きな問題を孕む。 第二は、手続き上の問題である。申請しなければ権利が保護されないという「オプト・アウト(離脱)」方式を採用することは、権利者の立場を弱体化するおそれが多分にあり、これは著作権法の世界ルールであるベルヌ条約に抵触する可能性がある。このような大きな問題を抱
報道によると、4月12日公開予定の靖国神社をテーマにしたドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」(李纓監督)の上映が、当初予定していた映画館の自粛措置により中止が相次いでいるという。さかのぼって2月には、グランドプリンスホ テル新高輪で予定されていた日本教職員組合(日教組)の教育研修集会が、受験生等への配慮からホテル側の会場使用拒絶により中止せざるを得なくなった。さ らに年始めの1月には、茨城県つくばみらい市で開催予定だったドメスティックバイオレンス(DV)をテーマにした講演会が中止する事態が発生している。 表現の自由はいうまでもなく、情報流通の自由であり、その自由が保障されるためには、意見表明の「場」が確保され、伝え手から受け手に表現が伝達されなけ ればならない。情報流通を担う者には、そうした民主主義社会に不可欠な表現の自由を守る社会的責務がある。にもかかわらず、先に挙げた事例以
法務省人権擁護局は2007年7月12日、東京法務局長名の勧告「奈良放火殺人事件に関する書籍の出版について」を、同年5月に刊行された『僕はパパを殺すことに決めた』の出版元である講談社と、著者の草薙厚子氏に手交した。 しかし、その勧告を見ると、同書の著述と刊行を、一方的に「プライバシーの侵害」や「人権侵害行為」であると断定し、さらに「報道・出版の自由として許容される限度を超えている」と決めつけ、「謝罪」せよと迫るなど、表現の自由にあからさまに介入する内容になっている。 そもそも現行の制度は、どのような基準で勧告や要請等の措置が取られるかが明確ではなく、それに対する反論や対抗・救済の手段も用意されていない。過去の例を見ても、勧告等によって書籍の流通や販売が「自粛」されるなど、実質的な禁書措置になっている場合が少なくない。 表現活動や出版等において人権侵害があったのであれば、それはまず当事者
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