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ブックマーク / fumikura.net (1)

  • 草双紙を研究すること

    草双紙は近世初期(17世紀半ば) から明治初期(19世紀末) に至るまでの約200余年間、その内容と造の趣きとを変化させながら多くの読者に親しまれてきた。おそらく、近世近代を通じて一番長い期間に渉って愛翫されてきたジャンルといって差し支えないであろう。全丁に入れられた挿絵の隙間に平仮名を主とする文が書き込まれるという独自の板面は、草双紙が他のジャンルと一線を劃した絵入大衆小説としての特徴的な様式であった。ただ、江戸の地としての性格を強く体現していたため、近世文学研究史に於いて、草双紙は決して所謂〈文学的〉価値の高いものとして扱われてはこなかった。多分に好事的な風俗資料として、その挿絵が関心の対象となったに過ぎなかったからである。 ○ 近頃、この草双紙の研究史を通覧できる『草双紙研究資料叢書』全8巻(中村正明編、クレス出版)が出た。大正末期から昭和30年代初頭に至る黎明期の著作権切れの

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