日本学校メンタルヘルス学会理事長 東海大学文学部心理・社会学科教授 近藤卓氏 (学術博士・臨床心理士) 現代の日本社会において心のバランスを崩す人が増えていることは、珍しい現象ではない。大人のみならず、子どもにとっても重要な問題であり、学校現場での対応には、教育関係者も頭を悩ませていると推察する。なぜ人は心のバランスを崩すのか? その原因に迫る鍵として、「いのちの教育」研究の第一人者である近藤卓氏は、「自尊感情」をあげる。心の成長の核となる「自尊感情」。新年度を迎える今だからこそ、それが子どもたちの健やかな成長にどう関わるのかを伺った。 (レポート/中 由里) 学校現場に少ない“自尊感情”を学ぶ場 ‐最近の子どもたちの心の問題について特徴的なことはありますか 子ども・大人を問わず、自尊感情の低い人が多いと感じます。自尊感情とは、自分自身を価値あるものと思う感情で、人が健やかに心の成長