それは平日の夜の電車内で起きた出来事。わが子に向けてひとこと「おい、ぼうず、静かにしろ。」 見れば、上質そうなコートに身を包み、中折れ帽をかぶった50代半ばと思しきおじさま。 時は20時台だったが、頬をほんのりと染め、仕事を終えてから“一杯”経由して、帰宅の途に着くところだろうと想像できる。 彼だけではない。この時季、この時間。車内は新年会帰りのたくさんの人が乗り込んでいた。 混んだ電車内でワガママを言う息子をおじさまが一喝。 こちらも同様、アメリカから一時帰国している大学時代の同級生と会う約束があり、いつもより少し早い時間に降園したその足で子連れの夕食と相成った帰り道のことだった。 男児は誰もが電車好き。いつものとおり、乗車した途端に「外(車窓)が見たい」と騒ぎ出した。しかし車内はなかなかの混雑ぶり、満席。100cmちょっとの彼の身長では大人に埋もれ、その願いは叶わない。しまいには「抱っ