耳の軟骨を振動させて音声を伝える「軟骨伝導聴覚補助イヤホン」を、窓口で導入する自治体や金融機関が増えている。奈良県立医大の細井裕司学長が発見した「軟骨伝導」の仕組みを利用し、今年に製品化したものだ。聴力が低下している人に対し、大きな声を出さなくても音声をクリアに伝えることができ、個人情報を取り扱う場面で重宝されている。(荒木利宏) 7月下旬、奈良県田原本町役場で行われたイヤホンのデモンストレーション。長寿介護課の職員が窓口に設置された集音器を介し、イヤホンを装着した町民とコミュニケーションを図った。 町では6月から5台導入しており、体験した末広真理子さん(77)は「声が不自然に大きく聞こえるかと思ったが、優しく自然な感じだった」と感想を話した。 田原本町役場の窓口で行われたデモンストレーション(荒木利宏撮影)イヤホンは、耳の入り口付近にある軟骨を振動させて耳の中に音を増幅させ、音声をクリア