SNSなどで広がる誤まった情報を信じた人のうちの4割は、検証して修正する「ファクトチェック」の記事があっても避ける傾向があることが名古屋工業大学などが行った実験で分かりました。誤った情報を信じる人にはファクトチェックの記事が届いていないおそれがあるとしています。 実験は名古屋工業大学の田中優子准教授らのグループが行い、結果を「工学と心理学」の国際学会で発表しました。 グループでは、なんらかの誤った情報を信じていた20代から60代の506人に、誤った情報であることがすでに示されている、新型コロナの死亡率やワクチンなどについての記事と、事実に基づく記事をオンラインで見せて、それぞれ正確と思うかどうか尋ねました。 そのうえで誤まった情報の記事を「正確」だと答えた人に、検証して修正するファクトチェックの記事へのリンクを示し、どれだけクリックするか調べたところ、43%の人はファクトチェックした記事を
過去の研究により、1秒間の人の脳の活動がスーパーコンピューター・京の40分に匹敵するなど、脳は非常に高度で複雑な情報処理を行っていることが明らかになっています。新たな研究により、脳に入ってくる情報の大半を占める視覚情報が効率的に処理されているのは、脳が「リアルタイムの視覚情報ではなく過去15秒間の映像の集約」を見ているからだということが確かめられました。 Illusion of visual stability through active perceptual serial dependence https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.abk2480 Everything we see is a mash-up of the brain's last 15 seconds of visual information https://theco
心理学の研究論文は再現性が低いことが指摘されていました。再現性が低くなる原因は、学界全体に「疑わしい研究手法 (QRPs)」が蔓延していたことにあるとみられます。 現在は学界全体をあげての対策が行われているようです。研究の事前登録、データの公開、追試などが重視されるようになっています。 学界は正しい方向に進んでいるようですが、だからこそ、重要な発見だとみなされてきた過去の研究成果が次々に覆されているようです。 少々調べましたが……、いやはやこれは……脱力しました。心理学以外の分野でも援用されている有名な研究たちが、あれもこれも。興味を引かれたものに重点をおきつつ、ざっくりとメモ的にまとめておくことにします。 2021年9月12日追記 追試というのは、1年半以上かかるものも珍しくないようです。かなりの時間・精神力・体力を要するのに対して、見返りが少ないものといいます。この記事では多くの研究の
「ポルノコンテンツを断つと、身体にはどんな異変があるのか?」という疑問に答えてくれるムービーを、サイエンス系YouTubeチャンネルのAsapSCIENCEが公開しています。 What Happens When You Quit Porn? - YouTube 世界最大級のポルノサイトであるPornHubが公開した情報によると、2019年時点で同サイトには1日あたり1億1500万人がアクセスしていたそうです。また、15~29歳の男女を対象にした調査によると、女性の82%、男性の100%がポルノコンテンツを楽しんでいることが明らかになっています。 スマートフォンの普及によりこれまでよりも格段にアクセスしやすくなったポルノコンテンツですが、さらに別の調査によると、過去にポルノコンテンツ断ちを試みて失敗した経験がある人の割合は82%と非常に高いです。 ポルノコンテンツ断ち初日はほとんど影響に気づ
フランシスコ・デ・ゴヤの版画連作『ロス・カプリチョス』から、『理性の眠りは妖怪を生む』(El sueño de la razón produce monstruos) 防衛機制(ぼうえいきせい、英: defence mechanism)は、受け入れがたい状況、または潜在的な危険な状況に晒された時に、それによる不安を軽減しようとする無意識的な心理的メカニズムである[1]。欲求不満などによって社会に適応が出来ない状態に陥った時に行われる自我の再適応メカニズムを指す。広義においては、自我と超自我が本能的衝動をコントロールする全ての操作を指す。 元々はジークムント・フロイトのヒステリー研究から考えられたものであり[2]、後に彼の娘のアンナ・フロイトが、父の研究を元に、キンダー・トランスポート(英語版)でイギリスに連れてこられたユダヤ人の子どもたちのケアをしながら行った児童精神分析の研究の中で整理し
世の中には私生活を犠牲にして仕事に打ち込む仕事中毒(ワーカホリック)と呼ばれる人もいますが、仕事のしすぎはうつ病・不安・睡眠障害といった多くの精神的・肉体的健康への悪影響が懸念されています。国際的な研究チームがワーカホリックと健康への影響について調査したところ、どのような仕事に従事する労働者においてワーカホリックのリスクが高いのかが判明しました。 Exploring the Link between Work Addiction Risk and Health-Related Outcomes Using Job-Demand-Control Model https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7593928/ Workaholism Leads to Mental and Physical Health Problems: Work Ad
教育大国で知られるスウェーデンで、若者たちの精神不調が急増している。10~17歳で精神科医にかかったり、向精神薬をもらったりしたことのある若者の割合はここ10年で倍増したというのだ。 同国内でその原因を示す警告の書として社会現象となるほどの反響を呼んでいるのが、『スマホ脳』(新潮新書、アンデシュ・ハンセン著 、久山葉子訳)という本だ。スウェーデンの学校関係者はその内容に驚愕。著者への講演依頼が急増し、彼の提案する改善メソッドを現場に取り入れる学校が次々と現れた。日本でも翻訳版が刊行されるやいなや、あっという間に累計22万部のベストセラーとなっている。 本書は急増する精神不調の要因に、スマホの中毒性があると説く。一日に何時間も(時に10時間以上も)スマホに囚われた結果なのだ、と。むろん、スマホ利用者は世界中にいる。当然の帰結として、若者の精神的な不調は、日本を含め、世界中で爆発的に広がってい
サイコパスは、先天的に反社会的人格を持つ人のことで、反社会性パーソナリティ障害に分類される。誰でも少しはサイコパスな気質を持っているものだが、専門家の診断で正式にサイコパスと認定されるのは人口の1%くらいだという。 生涯をかけてサイコパスの研究をしているイギリスの心理学者、ケヴィン・ダットンによると、彼らの特徴は、冷酷で大胆、直情的で自信家、プレッシャー下でも冷静、魅力的、カリスマ性がある。しかし、他者に共感することができず、罪悪感を持たず、良心の呵責なしに平気で人を傷つけることもある。 だが、専門家によると、映画の中に出てくるサイコパスたちは、必ずしも正しく描かれていないという。
新型コロナウイルスのパンデミックに伴って多くの業種に影響が及んでおり、「失業するかもしれない」という悩みを抱える人も増えています。そんな「雇用に対する不安」が、人々の性格を変えてしまうと研究者らが指摘しています。 Effects of chronic job insecurity on Big Five personality change. - PsycNET https://psycnet.apa.org/doiLanding?doi=10.1037%2Fapl0000488 More neurotic, less agreeable, less conscientious: how job insecurity shapes your personality https://theconversation.com/more-neurotic-less-agreeable-less-c
地球上のほとんどの場所において現地時間は経度によって決まりますが、北極点周辺では経度がほとんど意味を持たないため、北極を訪問する人は任意のタイムゾーンを使用することが可能です。北極の特異さはこれにとどまらず、夏には白夜、冬には極夜が続くことから1日の区切りがなく、「時間」というものが全く意味を持たなくなるとのこと。実際に北極での生活を体験した環境科学研究所のKatie Weemanさんが「時間の存在しない北極で暮らすとどうなるのか」をつづっています。 Time Has No Meaning at the North Pole - Scientific American Blog Network https://blogs.scientificamerican.com/observations/time-has-no-meaning-at-the-north-pole/ 北極と同様の状況に置
過去の研究により「瞑想(めいそう)は実際に脳を変えている」ことが科学的に証明されていますが、新たに、長年にわたり瞑想を行ってきたチベット仏教の僧侶の脳をスキャンした結果から、「瞑想をする人の脳の成熟は早く老化は遅い」可能性があることが判明しました。 BrainAGE and regional volumetric analysis of a Buddhist monk: alongitudinal MRI case study (PDFファイル)https://centerhealthyminds.org/assets/files-publications/adluru-brainage.pdf Meditation may have shaved 8 years of aging off Buddhist monk's brain | Live Science https://www.l
眠るときに「悪夢」を見てつらい思いをしている人は決して少なくないはずですが、まだその謎はヴェールに包まれた部分が多く、研究者にもわかっていないことが多々あります。そんな中でも、悪夢に悩まされている人に効果がある可能性のある方法が専門家により示されています。 Can you 'turn off' a nightmare? | Live Science https://www.livescience.com/turn-off-nightmares.html 睡眠には「レム睡眠」「ノンレム睡眠」の2つの段階があり、夢を見ているのは「レム睡眠」の最中。このとき、人の脳は起きているときと同じように働いています。夢の中では「空を飛ぶ」といった、普通ならありえないことも起きるので、日常生活に悪影響が出るほどの悪夢を見てしまう人もいます。 悪夢の原因はトラウマやストレス、特定の薬物に起因するとみられる睡眠
by Francisco Martins 感染すると脳の海馬に影響を与え、人間の認識能力を低下させるウイルスの存在が報告されました。調査では被験者の44%が感染していたこのウイルスの感染経路は不明で、人体には「無害」であるとのこと。 Chlorovirus ATCV-1 is part of the human oropharyngeal virome and is associated with changes in cognitive functions in humans and mice http://www.pnas.org/content/111/45/16106.abstract Scientists Discover a Virus That Subtly Changes the Brain to 'Makes Humans More Stupid' http://www.
by Free-Photos 多くの人々はうつ病になると世界に対する認識がゆがむと考えており、「うつ病の人は物事を悲観的にとらえるようになってしまう」と思われています。しかし、うつ病を研究する専門家の中には、「うつ病の人々は悲観的なのではなく、むしろ世界を正しく認識している」という考えを支持する人が多くいるそうです。 Depressed People See the World More Realistically - VICE https://www.vice.com/en_us/article/8x9j3k/depressed-people-see-the-world-more-realistically 「うつ病の人はそうでない人よりも現実を正しく認識している」という考えは、「抑うつリアリズム」と呼ばれるものです。抑うつリアリズムの存在が事実だとすれば、うつ状態でない多くの人々は、現
by SofieZborilova 人間は、視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚といった五感や痛覚、平衡感覚などさまざまな感覚情報を得て、周りの状況を把握しながら生きています。しかし、全身から膨大な量の情報を得ているため、特定の情報に注目したい時は「集中し、注目したいものに注意を向ける」ことが必要です。人が何かに注意を向けている時に脳の中で何が起こっているのか、そのメカニズムについて科学系メディアのQuanta Magazineが解説しています。 To Pay Attention, the Brain Uses Filters, Not a Spotlight | Quanta Magazine https://www.quantamagazine.org/to-pay-attention-the-brain-uses-filters-not-a-spotlight-20190924/ DNAの二
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く