世界レベルで近年の流行語大賞を選ぶとすれば、「フェイクニュース」が有力候補に入るのはまちがいない。アメリカのドナルド・トランプ大統領は自らに不都合なニュースをことごとくフェイクニュースと称しているが、本来は虚偽の情報に基づいて作られたニュースを意味する。2016年のアメリカ大統領選挙の前には、「ローマ法王がトランプ候補への支持を表明した」「民主党のヒラリー ・クリントン候補は、テロ組織IS(自称イスラム国)に武器を売却した」といったフェイクニュースがソーシャルメディアなどを通じて拡散し、大統領選の帰趨に影響を与えたとされる。 「ポピュリズム」も候補入りしそうだ。「国民が苦しむのは移民のせい」「異教徒のせい」「自由貿易のせい」とわかりやすい敵をつくり、支持を獲得していく政治家や政党が、世界各地で台頭している。 なぜ人は薄っぺらな主張に流され、浅はかな判断をするのか。このきわめて今日的な問いに