ある製品やシステムが市場から消えた理由にはたくさんの可能性が考えられるが、失敗分析というのはそれを値付けやデザインのせいにすることではない。その製品やシステムが本質的な目標達成にどれだけ関わっていたかを考えることであり、その意味で、人工物発達学の視点は有効であると思う。 黒須教授 2014年7月7日 (「人工物発達学のアプローチ(2) 目標を同定する」からのつづき) 客観的品質特性、主観的品質特性、および意味性 筆者は、経験工学の概念を整理するなかで、人工物の特性を客観的品質特性(ユーザビリティや機能性、信頼性など)と主観的品質特性(審美性や愛着感など)、および意味性(ありがたさなど)の三つに区別し、それが満足感という総合的な従属変数に寄与する独立変数であると考えている。その文脈で、人工物発達学と意味性の関係については、次のような人工物発達学の原理を整理した。 長く利用されてきた人工物は、