わりと有名な話なのだが、実は、私は生まれてこの方、有効票を投じたことがない。正確に言うと一度だけ投票所に足を運んだことはあるのだが、投票用紙に俳句をひとつ書いて帰ってきてしまったのだ。 うん。自慢できる話ではない。 というよりも、ある時、ある機会を通じてこの話を公にしたところ、私は、あらゆる方面から、かなり盛大な勢いで説教をくらうことになった。以来、思い出したように、色々な機会で、様々な皆さんに説教を頂戴している次第だ。 「選挙に行かないだけならともかく、それを誇らしげに公言するとはなにごとだ」 「投票回避は言論人としての自殺行為に等しい」 「いや、自殺教唆に値する」 「っていうか殺人じゃないのか?」 反省している。 口に出すのじゃなかったと思っている。 「ん? ということは、投票をしなかったことそのものは反省していないのだな?」 ……むずかしい質問だ。 が、今回は、さすがに答えなければな