「8代目が富治っていう人で、それが佐浦茂登の弟なんだけど、ちょっと体が弱かった。それで、茂登は一遍、現富谷町にある旧家に嫁に行ったんだけども、事情があって……。旦那さんが死んじゃったのかな? それでうちに戻ってきたんだ。弟富治が病弱なもんだから代わって茂登が9代目の戸主になって、それで大いに商売を繁盛させた。明治維新後の混乱した時代なんだな、ちょうど。その、なかなか厳しい環境の中をうまく乗り切ったんだね。亡くなったのが昭和13年。88歳かな。なかなか商才があって、その間うちの酒屋をうんと大きくした。だからうちにとっては中興の祖なんだな、茂登は。うんと偉いんだ。すごく気の強い人で。僕なんかすごくかわいがられたらしいんだけど、だからいくらか覚えてる。なかなか商売がうまくてね、明治維新後の困難時代をうまく乗り切って行くんだね。 西塩竈に佐浦山っていうのがあるんだけど、その佐浦山に別荘をつくったん