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  • 成田龍一『近現代日本史と歴史学』(中公新書) 7点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    3月3 成田龍一『近現代日史と歴史学』(中公新書) 7点 カテゴリ:歴史・宗教7点 サブタイトルは「書き替えられてきた過去」。戦後の歴史学が「近現代」をいかに捉え、叙述していったかということをたどったです。 多くの人が「面白い」と感じる話ではないとは思いますが、大学の史学科で日の近現代史を学んだ身としては懐かしかったですし、自分の興味が歴史学を離れて政治学や社会学へと移った理由を説明してくれるのようにも感じました。 全体を通して「歴史」と「歴史学」の違い、「歴史学」と「教科書」の関わりについて触れられており、歴史を教えている教員や、あるいは「歴史好き」で大学の史学科に行くことを考えている高校生なんかは読んでおくといいです(さらに日近現代史で卒論を書こうとしている大学生は先行研究を知る上で"必読”と言えるかもしれません)。 著者によると戦後の日歴史学は、社会経済史をベースとし

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    watermaze 2017/06/05
  • 坂井豊貴『多数決を疑う』(岩波新書) 9点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    5月11 坂井豊貴『多数決を疑う』(岩波新書) 9点 カテゴリ:政治・経済9点 サブタイトルは「社会的選択理論とは何か」。単純な多数決の問題点を指摘し、その代替案、さらには多数決に依拠している現在の政治のこれからのあり方を問う非常に面白いになっています。 個人的にこのが素晴らしいと思った理由は2つあって、それは(1)社会的選択理論を初歩から丁寧かつ明晰に説明している点、(2)明晰であるがゆえに著者との根源的な政治観や人間観の違いが明らかになって政治に対する認識がより深まった点、の2点です。 まずは(1)の部分から。 社会的選択理論の入門書というと、佐伯胖の『「きめ方」の論理』あたりが有名だと思いますが(佐伯胖のでは「社会的決定理論」となっている)、さすがにもう35年も前のですし、何よりも300ページ近い、それなりに専門的なです。 また、社会的選択理論に触れたの中には、いきなり「

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    watermaze 2015/05/11
  • 國分功一郎『近代政治哲学』(ちくま新書) 7点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    4月18 國分功一郎『近代政治哲学』(ちくま新書) 7点 カテゴリ:政治・経済7点 社会契約論を中心とした近代政治哲学を読み直し、そこに現在の民主主義の問題点の原点や突破口を探ろうという試み。 構成としてはボーダン、ホッブズ、スピノザ、ロック、ルソー、ヒューム、カントを順にとり上げていくスタイルなので教科書的に見えますが、小平の都道建設問題に積極的に関わった著者の問題意識が色濃く反映されています。 スタイルや問題意識は同じちくま新書の重田園江『社会契約論』に近いものがあると思います。 目次は以下の通り。 第1章 近代政治哲学の原点―封建国家、ジャン・ボダン 第2章 近代政治哲学の夜明け―ホッブズ 第3章 近代政治哲学の先鋭化―スピノザ 第4章 近代政治哲学の建前―ジョン・ロック 第5章 近代政治哲学の完成―ジャン=ジャック・ルソー 第6章 近代政治哲学への批判―ヒューム 第7章 近代政治

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    watermaze 2015/04/20
  • 金子拓『織田信長 <天下人>の実像』(講談社現代新書) 5点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    8月29 金子拓『織田信長 <天下人>の実像』(講談社現代新書) 5点 カテゴリ:歴史・宗教5点 タイトルからすると、織田信長を包括的に論じたにも思えますが、以下の目次を見ると、ほぼ信長と朝廷の関係に焦点を絞ったかなりマニアックなだということがわかると思います。 序章 信長の政治理念 第1章 天正改元―元亀四(天正元)年 第2章 正親町天皇の譲位問題―天正元年~二年 第3章 蘭奢待切り取り―天正二年三月 第4章 まぼろしの公家一統―天正二年 第5章 天下人の自覚―天正二年~三年 第6章 絹衣相論と興福寺別当職相論―天正三年~四年 第7章 左大臣推任―天正九年 第8章 三職推任―天正一〇年 終章 信長の「天下」 このの基的な主張は、「信長が朝廷の権威を完全に無視して政治を行おうとし、それに抵抗した正親町天皇との間に激しい対立があったという事実はない」というものです。 この信長と朝廷の

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    watermaze 2014/10/17
  • 鈴木恵美『エジプト革命』(中公新書) 8点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    11月8 鈴木恵美『エジプト革命』(中公新書) 8点 カテゴリ:政治・経済8点 2011年の「アラブの春」で若者たちが中心となり30年にわたって独裁を続けてきたムバーラク政権を打ち倒したエジプト。しかし、その後の民主的な選挙で選ばれたムルシー大統領(日だとモルシの表記も多いですがこのの表記はムルシー)は、若者たちと対立。最終的にはこの対立に軍が介入し、「革命」によって生まれた民主主義はまた「やり直し」となりました。 この複雑なエジプト情勢をフォローし、その背景と、「革命」が失敗に終わった理由を分析したのがこの。 同じ年に東日大震災があった関係で日では追いかけることが難しかったエジプトの動きを丁寧にまとめてくれていますし、また、「民主主義」というものについて考えさせる内容になっています。 複雑怪奇なエジプト情勢をおったこのをそのまま要約するのはなかなか難しいので、以下は個人的に興

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    watermaze 2013/11/08
  • 大田俊寛『現代オカルトの根源』(ちくま新書) 7点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    7月21 大田俊寛『現代オカルトの根源』(ちくま新書) 7点 カテゴリ:歴史・宗教7点 決して読んでて「面白い!」というではないけど、これは労作。 レムリア人とか世界君主とか爬虫類人陰謀論とか九次元霊とか、読んでてくらくらするようなぶっ飛んだ話ばかりですけど、実はこれらのぶっ飛んだ話がほとんど「霊性進化論」という枠組みから導き出されていることを解き明かし、現代のオカルトを貫く一つの思考パターンを取り出しています。 ダーウィンの進化論は世界観や人間観に大きなインパクトを与えましたが、進化論を知った時に次のように考えたことがある人も多いと思います。一つは「今いるチンパンジーの中から突然人間のような個体が登場するのではないか?」、もう一つは「今いる人類の中からいつの日か「超人類」が出てくるのではないか?」という二つです。 一つ目はたんなる誤解なんですが、二つ目については「超人類」はともかくとし

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    watermaze 2013/07/22
  • 竹森俊平『通貨「円」の謎』(文春新書) 8点 : 山下ゆの新書ランキング Blogスタイル第2期

    5月25 竹森俊平『通貨「円」の謎』(文春新書) 8点 カテゴリ:政治・経済8点 ユーロの危機の質を深く分析してみせた新書『ユーロ破綻 そしてドイツだけが残った』(日経プレミア)を書いた竹森俊平が「アベノミクス」について分析した。 ただ、片岡剛士『アベノミクスのゆくえ』(光文社新書)が王道的な分析だったのに対して、こちらはやや搦手から攻めている感じで、「なぜ日は危機に陥っているにもかかわらず円高になるのか?」という問題から、日経済の陥っている罠を分析しています。 東日大震災後、日経済は大きな危機に直面にしたにもかかわらず円は史上最高値に迫る勢いを見せました。エコノミストや経済学者の中には「強い円は日 の国力の証明」という人もいますが(日銀総裁にもいました…。このでは38pでその日銀総裁が辛辣に批評されています)、日の国力が大きく毀損した災 害が起こっても、なぜか円は強くな

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    watermaze 2013/05/25
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