「からすのパンやさん」「だるまちゃんとてんぐちゃん」などの作品で知られる絵本作家で児童文化研究家かこさとし(加古里子=本名・中島哲〈なかじま・さとし〉)さんが2日、慢性腎不全のため死去した。92歳だった。葬儀は家族で行った。後日、しのぶ会を開く予定。 1926年、現在の福井県越前市に生まれ、東大工学部を卒業。終戦後、昭和電工に勤める傍ら、休日を使って医療や教育などに困難を抱えた人々を支援する「セツルメント活動」に力を注いだ。軍国少年だった自らへの悔いが背景にあったという。戦災にあった地域の子どもに見せていた自作の紙芝居が、福音館書店の編集者だった松居直さんの目にとまり、59年に絵本「だむのおじさんたち」でデビューした。 「かわ」「海」「地球」など、子どもの好奇心を引き出す科学絵本も数多く手がけた。専門家に取材して最新の知見を盛り込みつつ、語りかけるような文章に加え、挿絵や図版を多くして理解