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ブックマーク / medt00lz.s59.xrea.com (5)

  • 人は禁じられた方向に努力する - レジデント初期研修用資料

    組織やチームの文化というものは、スローガンや目標ではなく、日常の動作やおしゃべりにおけるちょっとした制約が作り出す。 「全部英語」は極端であるにせよ、その会社、その組織、その業界独自の言葉や言い回しを作ったり、あるいは「その場で発してはいけない言葉」を作って共有すると、その場には独自の空気が生まれる。外から入ってきた人が「その組織の人」になるまでの時間は、そうした空気がある場所では大幅に短くなっていく。 制約が空気を作る 「ノー」を禁じた組織には、「ノー」を表現するための語彙が増えていく。「現実的に」を禁じた会議室からは、実際に実現できるアイデアが増えていく。 何か到達したい状態があるのなら、それを目標として声高に叫んでみせるよりも、目標と反対側の単語を禁じてやると、人間は案外、その方向に能力を発揮する。 内科医の会話から「外科」という言葉を禁じると、「外科に相談」みたいに便利な言葉が一切

  • 丈夫なシステムについて - レジデント初期研修用資料

    大学病院に入局した昔、田舎の電源事情は妙に悪くて、停電は日常だった。雷が落ちると病棟の電気が消えて、エレベーターに看護師さんが閉じ込められたり、大学のインフラは案外貧弱だったのだけれど、業務はあまり止まらなかった。非常用発電機の音を聞きながら、暗い病棟に殴り書きの伝票を持った研修医が走り回って、走らされるほうも、受け取るほうも、いい加減なシステムを回すのはきっと大変だったのだろうけれど。 きっちりやると脆くなる 震災直後の停電で、近隣の基幹病院は、病院の機能全てがダウンした。 電子カルテや画像診断装置が動かなくなるのはもちろん、薬剤を処方しようにもオーダーは出せないし、記録を残そうにもPCが動かない。救急外来の機能は止まって、救急車を受けることはもちろんできなくなって、調理室が上の階にあったから、入院患者さんに事を配膳するのも大変だったのだと。 新しい施設は電子化が行き届いていて、動線は

  • 悪い奴らは来なかった - レジデント初期研修用資料

    病棟で3年過ごした昔、上司の書いた処方箋を見て、「こうすればもっといいのに」なんて批評家気取りができるようになった頃、島に飛ばされた。邪魔な上司の指示が入らない、「こうすれば」を自分の責任で行える機会がいよいよ巡ってきて、それをやろうとして、手が動かなかった。 決断のお話。 実戦は怖い 島への派遣が決まったとき、粋がって英語ばかり持ち込んだ。世界的に権威のある教科書だから、信頼性なら完璧なのに、いざそれを使おうとして、それを翻訳するのが自分であることに思い至って、そのがいきなり信用できないものに変わった。普段は馬鹿にして、ろくに読みもしなかった日語の「今日の治療指針」がありがたくて、それに頼ってようやく病棟を回すことができた。 畳の「へり」なら転ばず歩けるのに、それが地上10m の高さに置かれたそのとたん、足がすくんで動けなくなる。模範解答を知っていることと、実際に決断ができること

  • 「下向き」の想像力について - レジデント初期研修用資料

    頭がいい人が、「上」に向かって想像力を働かせて、それまで誰も考えなかったようなサービスを作る方向と、 同じく頭のいい人が、「世の中には想像を絶する馬鹿がいる」という信念の下に、 カモをコントロールするやり方を模索する方向と、想像力には「上」と「下」みたいな方向性がある。 上向きの想像力が生み出すプロダクトはすばらしいけれど、世の中を回しているのは、 むしろ下向きの想像力なんだと思う。 振り込め詐欺のこと 振り込め詐欺の人達が使う手口はあまりにもあからさまで、どうしてあんなものに大勢が引っかかるのか 不思議でしょうがないけれど、あの人達の秘訣というのは、「たくさんの人に電話をかける」、 それが全てなんだという。 「普通」が好きな、常識的な人達は、たぶん「こんな話に騙される人が世の中にいる」、 そのこと自体を信じられない。信じられないから、そもそもああ言うことをやろうなんて思わない。 振り込め

  • ストップウォッチひとつでできる簡単! 医者潰し - レジデント初期研修用資料

    レジデント初期研修用資料 引っ越し前の旧blogです。新しいアドレスは http://medt00lz.s59.xrea.com/wp/ になります 病棟潰しのストップウォッチメソッド 難病の患者さんを病院で受けた。 いろいろな病院を転々としてきた人。家族の方が、病棟を評価する基準も独特。 ご家族は、ナースコールを押してから、 実際に病棟ナースが駆けつけるまでの時間をストップウォッチで記録する。 点滴が終わったと言ってはカチリ 事を片付けてほしいと言ってはカチリ 家族の手元には、今までの記録が全部ある。前の病院も、そのまた前の病院も。 遅いとか。前の病院なら何秒だったとか。そういうことは一切言われない。 ただ「カチリ」。記録だけ。 淡々と記録を取られる毎日が1週間も過ぎたころ、病棟の空気が厳しくなってきた。 医療者サイドは日常業務をこなしているつもりだったけれど、あのとき病棟を支配し

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