波乱万丈な日々を過ごす「主人公」のような人生に憧れたことはないだろうか? きらびやかな世界を生きる芸能人や起業家はもちろん、好きなモノに熱中するオタクたちや出世街道を突き進む友人を見ると、平凡な毎日を送る自分が霞む。 「僕の人生には事件が起きない」 そんなタイトルのエッセイを上梓したのは、ハライチの岩井勇気だ。 「地元どんなところでしたか 田舎っぽいところありました 」 ――ない。 「学生時代どんな子でした いじめられたりしませんでした 」 ――してない。 「実家はどうですか 貧乏で困ってませんでした 」 ――困ってない。 「下積み時代の苦労とかあったら教えてください」 ――苦労してない。 まさに地獄だ。 (『僕の人生には事件が起きない』岩井勇気(新潮社)より引用) 事件が起きない人生。お笑い芸人としては、ウィークポイントに見えてしまいそうだ。でも、岩井からは卑屈さや劣等感は全く感じない。