2020年7月の豪雨被害で八代(熊本県)-吉松(鹿児島県湧水町)の不通が続く肥薩線。八代-人吉(熊本県)の「川線」は鉄路での復旧が現実味を帯びる中、鹿児島、宮崎、熊本3県をまたぐ人吉-吉松の「山線」は何も決まらないままだ。JR九州は3県を交えた議論の場を設けたい考えを示す。3県とも全線復旧を望むものの、JR側が重要視する「日常利用の創出」が今後の鍵となりそうだ。 大型連休中の4月29日、肥薩線と吉都線が走る吉松駅は、無人駅ということもあり人の気配はなかった。しばらく歩くと、都城市へ向かう吉都線の列車の横で、肥薩線の線路が草木に覆い隠されていた。駅前で銭湯と商店を営む能勢秀昭さん(75)は「週末や連休は観光客でにぎわっていたのが懐かしい」と振り返る。 ■ ◇ ■ 川線は4月3日、JR九州と国、熊本県の3者会合で鉄路復旧を基本合意。鹿児島県の塩田康一知事は19日の会見で「山線は地域住民にとって