高松高裁の事例は、既に乳房温存療法は確立された療法であったものの、問題になるのは控訴人の場合、非侵潤性乳管癌であり、この場合の乳房温存療法は確立したものではなかったというもので、構図としては同じ。被控訴人丙山(A)は、この治療法は「選択可能な治療方法ではなかった」のであり、さらに、「適応可能性が低かった」どころではなく「適応はない」と診断したと主張している。つまり、丙山教授の側から見れば、平成13年判決を認めた上で、それでもこれはあり得ないことなので説明する義務はないと認識しているわけだ。それに対し高裁は、「上記判断は不適切であったとはいえず」「適応である可能性は低かったものと認められる」というものであるが、「適応がなかったとまでいうことはできない」と判断した。 私見ではここが最も重要なポイントだと思われる。非常に重要なので「判例タイムズNo.1235」から引用する。 イ 被控訴人徳島大学