『アフター・アワーズ』(After Hours/1985) 1983年。マーティン・スコセッシ監督は情熱を捧げた『最後の誘惑』が頓挫してしまい、映画界での自らの無力さを感じて落ち込んでいた。 一方、仕事が暇な俳優グリフィン・ダンは映画製作に着手。無名の大学生が書いた『LIES』という脚本と巡りあう。主人公の男が次々と不運に見舞われるという、NYを舞台にした斬新なブラックコメディに可能性を感じたダンは、自ら主演して映画化を進めることにした。 監督選びの筆頭に上がったのはもちろんNY派のスコセッシ。だが返事はすぐに来ない。そこで気鋭のティム・バートン監督に打診する。ところが順調に事が運んでいたある日、スコセッシ側から「引き受ける」との連絡が入った。 ダンは悩んだ挙句、バートンに正直に話すことにした。するとバートンはこう言ったという。 「スコセッシだって!? 素晴らしいじゃないか。それなら喜んで