【最後の海賊・連載第4回 前編】コロナ禍の「巣ごもり需要」によって三木谷浩史氏率いる楽天グループは堅調に売上高を伸ばしている。だが一方で、携帯電話事業への新規参入はそこで稼ぎ出した利益を吹っ飛ばすほどの赤字を生む。なぜ、リスクを鑑みないのか──。週刊ポスト短期集中連載「最後の海賊」、ジャーナリスト・大西康之氏がレポートする。(文中敬称略) * * * 「15兆円のオポチュニティー(ビジネス・チャンス)は凄まじい」 8月11日、楽天グループ会長兼社長の三木谷浩史は決算発表のオンライン記者会見で、携帯電話インフラをパッケージで輸出する楽天コミュニケーション・プラットフォーム(RCP)の可能性について熱く語った。 三木谷の言う「15兆円のオポチュニティー」とは、5G(第五世代移動通信システム)に移行しようとしている世界の携帯電話会社が年間に実施する設備投資の総額である。その1割を取れば年間1兆5