2 フォーレのノクターン(承前) (2)フォーレのノクターンの様式変遷(続き) 第3期 第9番から第13番 第9番以降が第3期の作品に当たり、20世紀には入ってからの作品です。第2期の第8番と第9番の間には6年の間があり、作風の変化が見られます。さらに第3期の5曲についても、第9番と第10番が1908年、第11番と第12番が1913-15年、第13番が1921年と、3つの時期に分かれて創作されています。 第9番と第10番では基本的に共通の創作傾向が見られる。その傾向の一つが、オルガンを思わせるバスのゆったりとした進行です。第10番では、第9番で見られたバスの重い動きがさらに強調され、このバスの進行に導かれるようにゆったりと作品は流れていきます。作品は第9番と同様、3部分から構成されていますが、これまでは長大であった中間部は短縮され、それに代わって主部の再現部が重きをなし、後ろ髪を引かれるよ