原子力関連の秘密をソ連に漏らしたとして1953年に死刑に処せられた2人のアメリカ人、ジュリアスとエセルのローゼンバーグ夫妻を情熱的に擁護するこの曲は、『インフィデル』に収録されていなかった。 発表するつもりのなかった作品で、そのアーティストのことを判断するのは大変アンフェアなことである。それは、ライターのゴミ箱をあさり、くしゃくしゃに丸められた紙くずを広げて、それを世界中にさらしてバカにするのと同じことだろう。しかし、60年代終盤からこのかた、ボブ・ディランはまさにこうした状況に直面してきた。「海賊版は本当にひどい」とディランは1985年にキャメロン・クロウに愚痴っている。「ホントにさあ、電話ボックスでやったことまで漏れているんだよ。誰もいなかったはずなんだ。モーテルの部屋で、一人で座ってギターをかき鳴らしているときに、誰かがそこにいるなんて思わないだろ。電話が盗聴されているみたいだ。これ