正午浅草。銀座線を田原町で下車して階段をのぼって、焼きそばの匂いがプーンとただよってくると、浅草に来たなア! と、いつもふつふつと嬉しくなる。このごろは浅草に来るのは飲酒目当てで日没時ばかりだった、昼の浅草はひさしぶりだなあと地上に出て、さらにふつふつと嬉しい。と、浅草の地に降り立つといつもそれだけで気持ちがふわふわ。テクテクと吾妻橋に向かって歩く途上、昼食にオムライスを食べて、ひと休み。無事に腹ごしらえが済んだところで、浅草松屋の前に立ち、イソイソと東武電車の改札を目指してゆく。もうすぐ、東武電車で隅田川の鉄橋を渡るあの瞬間がやってくると思うと、気が急いて仕方がないのだった。 市川崑『青春怪談』(昭和30年4月封切・日活)より。松屋前の地下鉄の出口のあたりに来ると、いつもなんとはなしにこの映画を思い出している。浅草松屋前の階段をあがって、北原三枝とその父・山村聰が地上に出ると、吾妻橋の手
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