マグニチュード(M)7.3を記録した熊本地震の本震から1週間がたった4月23日、筆者は日経コンストラクションの取材班第2陣として、熊本県西原村にいた。構造物被害の全貌が次第に明らかになるなか、一つだけ一般の報道では確認できない被害情報があった。俵山トンネルの「崩落」だ。 本震後、阿蘇大橋の崩落と同じく、俵山トンネルの被害も何度か耳にしたが、現場の状況を映像や写真で見る機会はなかった。崩落と一口に言っても、被害状況は様々だ。覆工コンクリートの表面がはく落したのか、トンネルが圧壊したのか、現地入り当初は詳細が全く分からなかった。 自分の目で被害状況を確かめるために、23日は早朝から俵山トンネルのある県道28号へ向かった。トンネルのかなり手前で車は通行止めということは、事前の情報で明らかになっていた。 県道28号の車両通行止め付近に到着してからスマートフォンで調べると、俵山トンネルまでは6km以
熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード(M)7・3の16日の地震は、直後に別の地震を誘発し大分県で強い揺れにつながったとする分析結果を、防災科学技術研究所(茨城県つくば市)の青井真・地震津波火山ネットワークセンター長が24日、同研究所の緊急報告会で発表した。 大分県の由布市と九重町に設置された地震計で記録された地震波を詳細に分析したところ、16日午前1時25分に熊本で起きた本震とされる地震の波が約17秒後に到達。さらにその約16秒後にそれよりも大きな地震波が観測されていた。通常、地震波は徐々に小さくなっていくため、別の地震が付近で起きていたと考えられるという。 これらの地震は短時間に連続して起きたため、気象庁の記録では一つの地震として扱われている。青井センター長は「熊本の地震をきっかけに別の地震が誘発されたことで、強い揺れを観測した範囲が熊本から北東方向に広がったのではないか」と指摘した
過去1500年間に発生した地震による震度の最大値をまとめた画像です。 解説のページもご覧ください。 (どの地震で震度いくつを記録したか、などがまとめてあります) ●おわびと訂正 北海道宗谷地方北部の最大震度を3としていましたが、4の誤りでした。 山口県西部の最大震度を4としていましたが、5弱の誤りでした。 皆様にご迷惑をおかけしましたことを深くお詫びいたします。
熊本地震の震源が、大地がぶつかり合ってひずみが集中している一帯と重なっていることが、京都大防災研究所の西村卓也准教授(地震学)の、GPS(全地球測位システム)を活用した地表の動きの分析などから判明した。 全国約1300カ所にあるGPS受信機内蔵の国土地理院の電子基準点のデータから、九州各地の地表の動きと、震源の位置の関係を調べた。 大分や宮崎は、南海トラフでフィリピン海プレートが陸側プレートの下に沈み込む影響で押されている。中国地方が動かないと仮定した場合、大分中部の基準点は西に最大年約1・5センチ(2005年~09年の平均)移動。一方、長崎や佐賀は中国大陸側から押されている影響などで南東方向に、熊本北部は南にそれぞれ約0・5センチ(同)など、方向や量が異なっていた。 西村さんによると、地表の動く向きや量が変わる境目は大地同士がぶつかるなどしてひずみがたまっている。活断層の存在が知られてい
熊本県や大分県で活発化している地震活動と活断層との関係を評価するために開かれた地震調査委員会=17日午前、文科省 政府の地震調査委員会は17日の臨時会で、熊本県で16日未明に起きたマグニチュード(M)7・3の地震は「主に布田川断層帯の布田川区間の活動による」との評価をまとめた。この区間の東側は従来知られていたより数キロ長く、阿蘇山のカルデラの中まで延びていたとみられることも新たに分かった。 調査委は火山活動への影響評価はしていないが、終了後に記者会見した委員長の平田直東京大教授は「マグマだまりの近くにまで断層があると、断層運動によって刺激され火山活動が活発になり得る。監視活動を強化してほしい」と注視を呼び掛けた。 火山では土砂崩れなどで断層活動の痕跡が見えなくなることが多く、従来は地表の調査で断層の東端をカルデラ西側の外縁までとしていた。だが今回の地震活動で生じた地上の観測点の移動や余震
九州では警固断層帯以外でも、大きな地震が想定されている活断層がある。 文部科学省が公表している主要断層の長期評価(今年1月時点)によると、全国187断層のうち、30年以内の発生確率が最大16%と全国で最も高いのが、日奈久断層帯の八代海区間(約30キロ)だ。熊本県水俣市や芦北町などの沖に位置している。 ちなみに1995年に発生した阪神大震災の発生直前の確率は0・02~8%だった。これと同等以上の断層は現在、全国に10カ所あるという。文科省は2013年2月、今後30年以内にマグニチュード(M)6・8以上の大規模な地震が起きる確率を初めて地域別に算出した長期評価を公表した。第1弾は九州だった。発生確率は九州北部7~13%、中部18~27%、南部7~18%で、九州全体でみると30~42%。17の主な活断層の活動状況に基づいて算出し、対象地域の活断層が多いほど確率が高まる。 九州の主要活断層は4~5
10月28日は宝永(ほうえい)地震(1707年)が起きた日だ。 この地震は恐れられている南海トラフ地震の「先祖」の超巨大地震だった。 300年も前の地震だったのに、ごく最近も発見があった。大阪だけで2万1000人もが犠牲になったというのだ。いままでは全国での死者数が2万人以上と考えられていたので、全体で倍になる数字である。 当時、大阪は天下の台所と呼ばれて栄えていた。人口は約35万人だったが死亡率6%というのは大変な数字だ。日本の地震史でも例が少ない高い数字である。 宝永地震は学問的に研究途上で学説は定まらないことが多く、新しい説が次々に出てきている。 地震計のない時代だったから、震源の位置や広がりが正確に分かっているわけではない。 たとえば震源が駿河湾に入っていたかどうか、つまり以前から発生が懸念されている東海地震の領域も含んでいたかどうかは学説が分かれている。恐れられている南海トラフ地
東日本大震災。 東日本全体で21000人もの人が命を失い、または行方不明となりました。私も被災し岩手県陸前高田市米崎小学校の体育館で二ヶ月間にわたり避難所生活をしながら避難所運営を経験しました。 多くの人に助けられ過ごした時間です。この場をお借りして、日本中の人に御礼を述べさせていただきます。 本来であれば、避難所運営の一例として記録と御礼だけに留めるべきことですが、次の万が一の時のために避難所運営の改善点とご支援をいただいた際に気になった点を記させていただきます。 両親と妻と一男二女の7人暮らしをしていました。両親とも同じ米崎町生まれで、昭和35年のチリ地震津波の被害も経験しています。妻は同じ岩手県内でも内陸の一関市生まれなので、結婚するまで津波に対する防災教育を受けずに育ちました。 震災時、子どもは小学校一年の長女と保育園年長組の次女は学校と保育園へ。1歳6ヶ月の長男は自宅で妻と一緒で
8日午後5時前、和歌山県北部を震源とする地震があり、気象庁は、近畿や東海・北陸などで強い揺れが予想されるとして緊急地震速報を発表しましたが、体に感じる揺れは観測されませんでした。 気象庁は、離れた地域の地震計で検知された電気的な「ノイズ」の影響で地震の規模を見誤った可能性があるとみて、原因を調べています。 8日午後4時56分ごろ、気象庁は、近畿や東海北陸など西日本と東日本の広い範囲で強い揺れが予測されるとして緊急地震速報を発表しましたが、震度1以上の体に感じる揺れは観測されませんでした。 気象庁の観測によりますと、このころ、和歌山県北部を震源とするマグニチュード2.3の地震が起きていましたが、緊急地震速報のシステムは、地震発生直後に地震の規模を実際より大きい、最大マグニチュード7.8と推計していました。 気象庁の緊急地震速報は、地震発生直後の小さな揺れを捉えて後から伝わる揺れの大きさを予測
南海トラフで想定される巨大地震の被害想定などを検討してきた政府の検討会がまとめた最終報告に、「南海トラフで起きる地震を高い確度で予測することは一般的に困難である」という専門家の検討結果が盛り込まれました。 国は南海トラフで起きる地震のうち、「東海地震」は予知できる可能性があるとしてきましたが、今後、研究や観測態勢の在り方が議論されることになる見込みです。 地震学者の間では、巨大地震が発生する前に地盤がずれ動く前兆現象が起きることがあると考えられています。 国は、南海トラフで起きる地震のうち「東海地震」は前兆現象を捉えて唯一予知できる可能性があるとしていて、気象庁が地盤の変化を捉える観測機器で監視を続けています。 これについて政府の検討会は、南海トラフで起きる巨大地震で直前に地盤の変化が起きるという考え方で規模や発生時期を予測できるのか検討しました。 その結果、▽地盤の変化を捉えられないまま
2009年4月6日に起きたラクイラ地震の被害の拡大を巡って,2012年10月22日にイタリアの地震学者らに禁錮6年の有罪判決が言い渡されました.行政とその諮問委員会メンバーの科学者らが過失致死傷罪に問われていた裁判の判決です.これについて,現地に調査に行ったり,委員会メンバーや行政担当者,そして遺族から話を伺ったりしていましたので,私が分かっている範囲の事や,私の考えをまとめておきます. 長いので以下の7ページに分けました. 関連組織について ラクイラの地震活動とラクイラ地震 訴追された理由は『予知の失敗』ではない なぜ『安全宣言』になったのか 科学者はどうするべきだったのか 思うところ(1) 思うところ(2) 裁判に関する用語など間違えがあるかもしれません.気づいたら修正したり加筆したりします.他にも,修正すべき個所や加筆すべき情報がでてきましたら,随時編集します.重大な編集については,
東海から西の「南海トラフ」に近い海底で、3年前、通常の地震の数十倍以上の30秒から100秒というゆっくりとした速さで岩盤の境目がずれ動くタイプの地震が起きていたことが、専門家のグループの分析で明らかになりました。 地震の揺れが強くないのに津波が大きくなる、「津波地震」のメカニズムの解明につながるのではないかと期待されています。 東海から西の「南海トラフ」と呼ばれる海底付近では、陸側の岩盤の下に海側の岩盤が沈み込み、岩盤の境目では巨大地震が繰り返し起きています。 海洋研究開発機構などの研究グループが、紀伊半島沖の「南海トラフ」付近の海底に地震計を設置して調査した結果、3年前の平成21年の春、マグニチュード4程度の地震が繰り返し起きていたことが分かりました。 観測データをさらに分析したところ、これらの地震は、海側の岩盤が沈み込み始める「南海トラフ」に近い、比較的浅い部分で発生し、通常の地震の数
マグニチュード(M)7級の首都直下地震が起きると、日本の財政は5年後に約7割の確率で「破綻」するとの試算を、小黒一正・一橋大准教授(公共経済学)らがまとめた。地震が起きない場合の破綻リスクの約2.4倍という。小黒准教授は、早期の財政再建の重要性に加え、震災に備えた基金積み立てなど「事前復興」の必要性を訴えている。 04年に国の中央防災会議がまとめた東京湾北部地震(M7.3)の被害想定のうちの最悪パターン(直接経済被害66兆円)を前提にした。破綻の定義を「国債と地方債の発行残高が、個人の金融資産(約1480兆円)の約9割に達し、国内資金で国の借金を賄えない状況」とし、物流・交通網の損失など間接被害は除き、80〜08年の経済成長率、金利などのデータから計算を繰り返した。その結果、15年に発生した場合の20年の財政破綻確率は68.9%、なければ28.1%だった。 東日本大震災前の計算では、破綻確
マグニチュード(M)7級の首都直下地震が今後4年以内に約70%の確率で発生するという試算を、東京大学地震研究所の研究チームがまとめた。 東日本大震災によって首都圏で地震活動が活発になっている状況を踏まえて算出した。首都直下を含む南関東の地震の発生確率を「30年以内に70%程度」としている政府の地震調査研究推進本部の評価に比べ、切迫性の高い予測だ。 昨年3月11日の東日本大震災をきっかけに、首都圏では地震活動が活発化。気象庁の観測によると12月までにM3~6の地震が平均で1日当たり1・48回発生しており、震災前の約5倍に上っている。 同研究所の平田直(なおし)教授らは、この地震活動に着目。マグニチュードが1上がるごとに、地震の発生頻度が10分の1になるという地震学の経験則を活用し、今後起こりうるM7の発生確率を計算した。
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