中国の全国人民代表大会で、国家主席の任期を事実上撤廃する憲法改正案が3月11日に採決された。 習近平国家主席が任期切れを迎える2023年以降も主席にとどまり、終身で務めることも可能になる。権力集中がさらに進むことになるだろう。 この背景にあるのは、デジタル技術の活用で形成されつつある史上最強の権力基盤だ。 これを「デジタル・レーニン主義(Digitaluse Leninism)」と呼び、習政権がAIを活用して、新しい統治システムを構築するだろうとの見方がある。 これは、AIが進化するとシンギュラリティ(技術的特異点)が生じて人間を支配するというようなAI脅威論とは異質のものだ。空想上の出来事ではなく、いま現実世界で進行しつつある問題である。 監視カメラシステムと公民身分番号 AIを駆使した中国の国民監視システムの代表として、「天網」がある。街中にある監視カメラが、顔認証技術で人や車の動きを