鼻が痒くなった。本能的に鼻を掻こうと手を上げるが、3枚の手袋(2枚はゴム製、1枚は布製)で覆われた指は、頭全体を覆う全面マスクの透明なプラスチックシールドにぶつかってしまった。 片手にはぎこちなく握られた取材用のノートとペン。筆者はそのとき、ズボンとシャツの上からタイベック防護服を着こみ、頭には鮮やかな黄色のヘルメットを被っていた。さらに2重履きにしたソックスと重いゴム長靴。この姿で歩き回るのは簡単ではない。衣服は第2の皮膚と言うが(この場合は第3、第4の皮膚と言うべきか)、この装備はギクシャクとしたものに感じられた。閉所恐怖症を誘発しそうな装備は、ゾンビに襲われて世界が終末を迎える映画から抜け出てきたもののように見える。 しかも、痒いところを掻くこともできない。 これだけの厳重な防備をしたのにはそれだけの理由がある。筆者は、福島第一原子力発電所3号機原子炉建屋の上を覆う、洞窟のようなカバ
![ロボットは福島第一原発「廃炉」への希望となるか--現地取材レポート](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/b3ec2338500aea55d6b1a0611a65956cd1aaeafa/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fjapan.cnet.com%2Fstorage%2F2019%2F06%2F14%2Faaefa6c925a686318a337b0f7973f2cb%2Ffukushima-daiichi-final-5571_1280x960.jpg)