ぎょっとするタイトルだが、進化生物学と認知科学の最新の知見から、至極まっとうな「人とは何か」が書いてある。 同テーマを大上段に正面から斬り込んだ[人類を定義する一冊『人類はどこから来てどこへ行くのか』]とは対照的に、卑近で下世話なエピソード満載の「あるある集」として爆笑しながら読む。進化心理学が野蛮だというよりも、一見、野蛮だと思われるふるまいも、実は深いところで合理性を持ち、人類の複雑な活動をうまく説明することができるよ、というメッセージが伝わってくる。 たとえば、わたしが初めて上京したときの第一感「都会は美人ばかり」を、著者自身の体験と実験でもって解説する。母数が多いから絶対数も多いのはあたりまえなのだが、頭で分かっても「美人率も高い」と感じてしまうのは男の性(さが)。群衆を眺めるとき、どうしても魅力的な女に注目してしまう男の業("ごう"と書いてバイアスと読む)だというのだ。 あるいは