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ブックマーク / www.ki1tos.com (5)

  • 研究にいちばん役に立つこと - いつか博士になる人へ

    大学院1年目の夏、私は毎日のように先生の部屋に行った。 学会の締め切り間近であせっていた。 「無理に発表する必要はない」 と研究室の人たちは言ってくれた。 でも、他の研究室の同級生たちは発表することが決まっていた。 私もなんとか発表がしたかった。 少しでも研究を進めたくて、毎日先生に指示をもらった。 先生の話をとにかく、ふんふん、わかりました、と言って聞いた。 当は、ちゃんとわかってなかった。 でも何をやればいいか、というのはわかった。 それで十分だった。 余計なことを聞いている時間はなかった。 作業が終わったら、すぐ先生に報告した。 「うん、これなら発表を申し込んでもいいですよ」 という言葉を、私はいつも期待した。 でも先生は、いつも資料をのんびりと見て、期待外れのことを言った。 たとえばある日、先生は、 「この式は、よく見ると面白い形をしてるね」 と言った。 「面白い?」 と私が聞く

    研究にいちばん役に立つこと - いつか博士になる人へ
    witt
    witt 2021/01/20
  • 研究室で情報共有に失敗した理由3つ - いつか博士になる人へ

    僕たちの失敗 僕が学部の4年生だったとき、研究室の先輩が言った。 「研究室のウィキを作ろう」 「なんですか?」 と僕は聞いた。 「ウィキペディアみたいに、研究室のことが何でも書いてあるウェブサイト。そういうのがあると、いちいち人に聞かなくてすむでしょ?」 「どうしたんですか、先輩……良いこと言ってますよ?」 それから、僕たちのウィキ作りが始まった。 大学のサーバーにウィキのテンプレートを置いて、ありとあらゆる資料をそこにアップロードした。 進捗報告のスライドや、勉強会で配った資料、ホワイトボードに書いたメモまで写真を撮ってウィキに載せた。 データがどんどん貯まっていくのは楽しかった。 ここに僕たちの思い出が残って、きっと後輩の役に立つ。 そう思うと嬉しかった。 でもしばらくすると、いちいちファイルを上げるのがめんどくさくなってきた。 進捗報告や勉強会が終わった後で、資料を見直し、ウィキに上

    研究室で情報共有に失敗した理由3つ - いつか博士になる人へ
    witt
    witt 2020/12/30
  • ずっと先生の話聞いてなかった - いつか博士になる人へ

    大学院のころ、僕には憧れていた先輩がいた。 憧れていた、というのは、 「いつか先輩みたいになりたい」というよりは、 「いつか先輩と一緒に観覧車に乗りたい」という方だ。 恋愛的な方だ。 しかし、この記事で伝えたいことは、恋愛的なことではない。 僕としても恋愛的なことを伝えたいのはやまやまなのだけど、無い袖はふれない。 悲しい。 いつだったか、先輩と学に行ったとき、 「先生って、たまに同じ話するよね」と、先輩が言った。 「そうですね」と、僕はうなずいた。 たまに、というか、先生はよく同じ話をした。 きっと毎年毎年、新しい学生が研究室に入ってくるからだろう。 先生としては、大事なことは一年に一度は言わないといけないのだ。 その日もたしか、「失敗にみえる結果にこそ大切なことが隠れている」という話をしていた。 先生の好きなフレミングの話だ。 カビが生えてしまった培養皿を捨てず、それを研究してペニシ

    ずっと先生の話聞いてなかった - いつか博士になる人へ
    witt
    witt 2020/12/12
  • 人は知ってることしか見えない - いつか博士になる人へ

    大学院に入ったばかりの頃、配属された研究室で研修を受けた。 僕は先輩について回って、実験機器を使ってみたり、実験ノートのとり方を教えてもらったりした。 ある日、先輩が先生たちとミーティングをするというので見学させてもらった。 そのときのことは今でもよく覚えている。 最初に、先輩が実験でとれたデータについて説明した。 先輩の堂々とした説明を聞いて、僕はとても感銘を受けた。 ふんふんとうなずきながら、はたして自分はこんなふうに説明できるだろうか(いや、できない)と思っていた。 でも先輩の説明が終わったとき、 「なんか変だね」 と助教さんが言った。そして、 「普通はこうなるはずなんだけど」 と、他のデータとの違いを指摘した。 先輩と僕は他のデータを知らなかったから、そこが変だと気がつかなかった。 なぜこのデータは変なんだろうねと、皆でうんうん考えていると、 「3次元でグラフを描いてみて」 と先生

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    witt
    witt 2020/06/29
  • なぜ博士号をとったのに大学教員にならないのか - いつか博士になる人へ

    春が来て、僕の少ないポスドク(博士研究員)仲間たちがまた何人か大学を去っていった。 一流大学で博士号を取り、一流論文誌に研究を発表した彼らが、それでも大学教員になることをやめた理由はさまざまだ。 お金だったり、子どもだったり、別にやりたいことが見つかったり。 だけどそれぞれの理由の根っこにあるものは、たぶんみんな同じだと僕は思っている。 博士課程を終えた後にいろいろな問題が降りかかってくることなんて、僕たちは博士課程に入る時に十分わかっていた。 給料が低いことも、結婚して子どもを持つことが難しいことも知ってた。 それでも大学教員になりたいと思ってハカセになった。 大学で好きな研究をやること以外に、やりたいことなんて考えられなかった。 それなのに、どうして今さら大学教員になることをあきらめるのか。 お金がない生活に嫌気がさしたから? 運命の人に出会ってしまったから? 自分の天職は他の仕事だっ

    なぜ博士号をとったのに大学教員にならないのか - いつか博士になる人へ
    witt
    witt 2020/05/30
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