落合恵子さんが、東京新聞のコラム(6/20)で、子ども時代に目撃した「傷痍軍人」のことを書いている。 この道 ―私を私にしたもの― 落合恵子 (10) アコーディオン 敗戦後の郷里、宇都宮での日々をノスタルジーだけ書くことはできない。 … そんな時、街の目ぬき通りや、公会堂の近くに、白い着物を着た男のひとが立っていることに気づいた。男のひとは、ハーモニカを吹いたり、アコーディオンを弾いたり、ハーモニカを持っていた。アコーディオンを弾くひとは、一方の足の膝から下がなく、代わりに茶色っぽい木の足をつけていた。 「傷痍軍人」というのだと、大人が教えてくれた。「戦争にいって、怪我をしたひと」だ、と。 男のひとは、自分たちが立つ地面に、ブリキの缶や箱を置いていた。中には、一円札や五円札が入っていた。たくさん入っているときもあれば、一、二枚のときもあったし、空っぽの時もあった。 … どこかで聞いて